No.1055363

スマブラ Stern des Lichts 第8話 ~ レース場で

Nobuさん

レース場にはたくさんのスピリッツがいます。
異世界の魂も、この世界の魂も。

2021-02-26 09:36:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:296   閲覧ユーザー数:296

 トロン・ボーンのスピリッツを解放した一行は、次のスピリッツを探して、レース場に向かおうとしていた。

「なんでレース場なの?」

「死神の勘が騒いでいるのよ。キーラに捕まったファイターの魂がいるって」

 ベルによれば、レース場にはファイターが捕まっているらしい。

 一人でも多くのファイターを助けるのが当分の目的であるため、マリオ達は迷わず彼女についていった。

 

「慎重に行かなければな」

 レース場に行くための場所は、岩がたくさんあり、道を外すと落ちそうだった。

 シャドウの言う通り、一行は足を踏み外さないように、慎重に歩いていった。

「待っててね、僕達が助けるから」

「まったく、何故僕がお前達と共に行動しなきゃいけないんだ」

「お前だけじゃこの危機は乗り越えられないぞ」

「やめてよ、二人とも~!」

 シャドウは単独行動をしたくて愚痴を吐くが、マリオはそれを注意する。

 チームワークに不安が残るこのパーティーを、カービィは何とかまとめたいと思っていた。

 こうして岩の足場を降りてレース場に入ろうとすると、ブキを持った蛸が擬人化したような女性のスピリッツがいた。

「あ、これはタコゾネスね。マールと同じ世界にいる『オクタリアン』という種族の突撃兵よ」

「タコゾネスって強いの?」

「そこそこね。四体いるけど私達はたくさんいるし、ほぼ互角になるんじゃない?

 相手は遠距離攻撃をしてくるわ、こっちも遠距離攻撃が得意なシャドウを入れましょ」

「ああ」

 シャドウは、拳銃を取り出してそれをタコゾネスに向ける。

 銃撃戦なら負けない、といった表情をしていた。

「残りの五人はカービィ、私、アイシャ、マリオ、シークでいこうかしら」

「賛成、僕は飛び道具を持っていないからね」

「僕のパチンコも威力は期待できないし」

 マルスとりょうが下がった後、カービィ達はタコゾネスに戦いを挑んだ。

 

「はい、終わり」

 タコゾネスとの戦いに勝利し、ベルは彼女のスピリッツをスピリッツボールの中に収納した。

 こうして、八人はレース場に入る事ができた。

 東に進んでいくと、黒髪を二つに結った、目つきが悪い女性のスピリッツがいた。

「あぁ? なんだオマエらは」

「この人はハン・ジュリ。リュウと同じ世界にいるテコンドー使いの女性よ」

「オマエら、存在自体がうぜえンだよ。失せろ」

 どうやら、このハン・ジュリという女性は、トロン・ボーン同様に異世界のスピリッツのようだ。

 ベルがスピリッツの簡単な説明をした後、ジュリはその容姿に違わない強烈な言葉をベル達に言った。

 アイシャは震えて縮こまり、ベルの後ろに隠れた。

「怖いですわ。わたし、戦いたくありません」

「ああ、そのツラ、いいねえ。もっとあたしに見せてくれよ」

 このジュリという女性は、アイシャにとっては天敵だった。

 彼女を守るため、ベルは大鎌を持って前に立つ。

「……あんまり、怖がらせちゃよくないわよ? アイシャ、下がってて。あんたの相手は、私だからね」

「はい!」

「オマエの全てを、食ってやるよ!」

 ベルは、大鎌を構えてジュリに戦いを挑んだ。

 ジュリも、構えを取って彼女と勝負をした。

「私は死神だもの、あんたに負けるわけないでしょ」

 結果は、ベルの勝利で終わった。

 ベルは、ジュリのスピリッツをスピリッツボールの中にしまった。

(レース場に捕まってるファイターといえば、う~ん……)

 マリオは、レース場でキーラに捕らえられたファイターが誰なのかを予想していた。

 レーサーのファイターといえば「彼」しかいないのだが、それ以外のファイターもいそうだと考えていた。

 マリオが考え事をしている最中に、一行は乗り物がある場所に辿り着いた。

「これは……ワイルドグース?」

「ワイルドグース?」

「F-ZEROマシンよ。これを運転できるスピリッツは、うーん……この場にはいないわね」

 ワイルドグースを運転できればサーキットを進めそうだが、今はそれが可能なスピリッツはいない。

 一行は仕方なく、レース場を後にして、ワイルドグースを運転できるスピリッツがいる場所に向かった。

「確か、こっちだったはずよ」

 ベルの案内でカービィ達が北に行くと、双子のドガースのスピリッツがいた。

「これはドガースの進化形、マタドガスね。又ドガスであって、マ『ダ』ドガスじゃないわよ」

「うん」

「後、浮遊しているから地上攻撃は効かないわよ」

 マタドガスは、どくタイプだが特性は「ふゆう」なので、地上の攻撃は効かない。

 特性を無視する特性がなければ、弱点はエスパータイプのみなのだ。

「……ボディがあいつなのが、気に食わないけど」

 そう言って、ベルは大鎌を構え、マタドガスのスピリッツに戦いを挑んだ。

 

「マタドガスのスピリッツ、解放!」

「お~!」

 ベルはマタドガスのスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。

 カービィは、ぱちぱちと拍手する。

「私は死神だし、ね? で、多分、この先にワイルドグースを運転できるスピリッツがあると思うわ。行きましょ」

「ああ」

 八人が先に進もうとした瞬間、遠くにある何かが光り、地響きが起こった。

「きゃ! なんですの!? あわわわわ……」

 アイシャが驚き、慌てふためくと、横にある橋の中央に巨大な結界が現れ、道を塞いでしまった。

「あらまぁ、結界が出ちゃったわね」

 ベルが橋に近付いてその結界に触れると、バチッ! という音と共にベルが手を離した。

「っつ~」

「大丈夫、ベルベル!?」

「平気よ、これくらい。ったく、キーラってば、油断も隙もないんだから」

 キーラから妨害を受け、腹を立てるベル。

「ベルベル、どうして鎌を使わなかったの?」

「あ!」

 カービィの疑問で気が付いたベルは、鎌を取り出して結界に振るった。

 しかし、鎌は結界に弾かれ、傷一つつける事ができなかった。

「駄目みたいね……」

「とりあえず、ワイルドグースを運転できるスピリッツを探すために北に行くぞ」

「ええ」

 鎌で結界を壊せないと分かったベルは、その橋を後にして北に向かうのであった。

「いたわ! ワイルドグースを運転できそうなスピリッツが!」

「待って、ベル!」

 ベルがスピリッツを解放するために大鎌を構えようとすると、りょうが何かを発見して彼女を止める。

「え? 何なのよ」

「誰かが……捕まっている!」

「え……あ、ホントだわ!」

 台座には、はどうポケモン・ルカリオが光の鎖で縛られていた。

 その下からは、次々とルカリオのボディが生成されている。

 つまり、ルカリオを解放できれば、今後、彼のボディが使われる事はなく、また戦力も増えて一石二鳥なのだ。

「そこか」

 シャドウが台座に触れると、鎖が砕け散り、そこからルカリオが下りてきた。

 同時に、マリオ、カービィ、シーク、マルス、りょう、シャドウ、ベル、アイシャは不意打ちを受けないように戦闘態勢を取った。

 

「……マイル」

 ルカリオの周囲には、異星人のスピリッツ、埴輪のスピリッツ、司祭のスピリッツが浮いていた。

 彼らもまた、キーラに操られた被害者なのだろう。

「……いくぞ」

「うん」

「ええ」

 シャドウ、ベル、マルスがそれぞれ武器を構え、戦闘態勢を取る。

 一触即発の状態で、皆、緊張していた――

 

―ぐきゅるるるる……

「あ、僕、お腹空いたからパス……」

 その緊張を、一人の腹の虫がほぐした。

 ~ベルのスピリッツ名鑑~

 

 タコゾネス

 出身世界:未来の地球

 性別:ガール

 蛸が進化した種族、オクタリアンの突撃兵。

 人と蛸に変化する能力を持っている。

 

 ハン・ジュリ

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:女性

 S.I.N.社の工作員で、テコンドー使いの女性。

 残忍で享楽的なサディストで、毒蜘蛛を思わせる容姿を持っている。

 身長165cm、Dカップ。

 

 バイオ・レックス

 出身世界:エフゼロワールド

 性別:不明

 バイオテクノロジーで蘇った恐竜。年齢は一桁。

 ビッグファングに乗るF-ZEROレーサーでもある。

 凶暴な性格で、好きな食べ物は肉。

 

 マタドガス

 出身世界:ゲフリアース

 性別:♂♀両方存在する

 ドガースが進化した、どくガスポケモン。

 どくタイプで、特性はふゆう。

 ゴミから発生するガスを食べて大きくなる。

 極稀に、三つ子のマタドガスが見つかる。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択