No.105374

晴嵐さん
続・恋姫無双第二部第四話「覚悟」
一刀たちは必死に撤退していた。
凪の援護もあり、後ろに敵の姿はない。
あと幸い、足を負傷したものは少なく、ほとんどが自力で走っている。だが兵力を失っている今、この数で敵には当たれない。
先頭は真桜と沙和に任せ、一刀は後ろで凪、霞と敵が来ているか確認している。
一刀は前方を見ながら凪の方へチラリと目線を向けると
「凪、後ろどうだ!?」
「・・・はい、かすかにですが追ってきているようです。」
「騎馬か!?」
「・・・あの砂塵の上がり方は・・・騎馬ではないようです。」
「・・・一応牽制しとくか・・凪、氣弾頼む!」
「はい!!」
そういうと凪は走っている勢いをそのままに地面に片手をつけ、腰を落としながらそのまま後ろへと振り返る
その勢いでズサーと音を立てながら徐々に速度が落ちていく。
そして勢いがなくなり止まると左肩で抱えていた兵士を一旦おろし氣を一気に右足に集中する。
一刀もそのまま立ち止まり、霞に叫ぶ。
「霞!間違いなくこの先に伏兵がいるはずだから、真桜たちの援護を頼む!」
「おっしゃ!まかしとき!」
霞は了解といわんばかりに敬礼をとり、そのまま走る速度を上げて先頭へと走っていく。
「・・・はぁーーーー!!!」
再び凪の気合と共に氣弾が炸裂する。
遠くで爆発音が聞こえる。
敵に当たったかはわからないが牽制にはちょうどいいだろう。
一刀と凪はお互い向かい合い頷くと凪はまた足を怪我している兵士を抱え、また走り始める。
「(・・・おそらく伏兵はそれほど数は多くないが・・・来る途中にあった橋は落とされてるかな・・・)」
一刀はこの後の展開を考えて撤退の方法を考えている。
だがそればかりに集中してられない。
「隊長!前方で真桜たちが!」
「伏兵か・・・俺が行く。凪、引き続き後ろの警戒を頼む!」
「了解しました!」
そういうと一刀は兵士を抱えたまま走る速度を上げていく。
足に怪我をしている兵士は申し訳なさそうに
「・・・隊長、自分はいいですので李典様達のところへお急ぎください。」
「はぁ?何馬鹿なこといってるんだ?お前も大事な兵士だ見捨てるわけないだろうが」
一刀は左肩に抱えている兵士の頭を右手の裏拳で軽くコツンと叩いた。
「いいからじっとしてろよ、少し揺れとかで体に響くだろうけど、それは我慢してくれ」
「・・・申し訳ありません・・・」
その兵士は涙を流しながら再び地面に顔をむけた。
「・・・気にするな」
一刀は先程と同じように軽く兵士の頭を叩くと前方へと急いだ。
前方では一刀の読みどおり、伏兵が待ち構えていた。
だがひとつ疑問に思ったのは一刀を捕らえるのが目的のはずなのに何故か伏兵の数は少ないということ。
一刀は徐々に近づいていく中でその疑問を考えていた。
そして真桜たちに追いつくと、その疑問は一気に解決した。
「たいちょーー!こいつらまじ強いで!!」
「ホント、ありえないぐらい強いの!」
真桜と沙和は担いでいた兵士を一般兵に任せ、闘いに専念していたが、真桜と沙和の二人がなんとかギリギリで三人相手に出来るほどの強さだった。
その少し前を霞が必死に撤退の道を作ろうと戦っている。
「(・・・多分五胡の妖術のひとつか・・・そうなると・・・多分・・・)よし兵士を担いでいない兵士全員!この辺りに妖術に使われている道具か術者がいるはずだ!全員で探せ!!」
「「「はっ!!」」」
そういうと一刀も担いでいる兵士を一般兵にまかせ、いつの間にか囲まれていた霞の隣へと切り込んでいった。
そして霞と背中を合わせ周りを敵を観察する。するとやはり五胡のつけている仮面の目が赤く光っていた。
「やっぱりな・・・妖術を使っている・・・」
「そやけど、あの司馬懿って奴の術って訳じゃなさそうやで?」
「あぁ、まずこの辺りにいないと普通は使えないはずだからな(俺の知っているゲームの話だけど・・・)」
「まーウチにはこんくらいのほうが燃えるからええんやけどな」
「・・・あんまし嬉しそうに言わないでくれよ・・・」
霞が笑いながら一刀の顔をみる。
一刀はやれやれといった感じでため息をついた。
「せやけど一刀、術者ちゅうてもあいつらで平気なんかな?」
「まーその辺は大丈夫じゃないか?術の間は集中してないといけないはずだし」
「それやったら普通は護衛がおるんやないか?」
「・・・まーこれは俺の勘だけど多分いないね」
「なんで?」
「理由は二つ。まずひとつは俺の知っている通りならこの術はたぶんどの国もまだ知らないっていう敵の油断」
「・・・もうひとつは?」
「俺を捕まえるのが最優先ならこの先にもまだ伏兵がいる。・・・あと二、三箇所ぐらい、それでなくても兵数が多くないはずなのに最初の一波で護衛を置くとはかんがえにくい」
「うーん・・・いまいち信頼性のない話やな」
「まー俺が都合よく思っているだけなんだけどな。そうだったら嬉しいみたいな感じだ。」
そんな会話を呑気にしていると一人の兵士が叫んだ
「一刀様!敵の術者らしき物を捕らえました!」
「おぉ。よかった。勘が当たったみたいだ。霞、一気に突破するぞ!真桜、沙和後ろ任せるぞ!」
「「おお!」」
「了解なのー!」
「「はぁーーーーーーー!!!」」
一刀と霞の二人は気合とともに一気に敵をなぎ払っていく。その後ろから兵士と凪達三人が続く。
「凪!また抜けたら氣弾頼む!」
「はっ!」
ドーーーーーン!!!
先程より大きな爆発音が聞こえる。
それを確認すると一刀はまた前方を霞、真桜、沙和の三人にまかせ、
後ろにいる凪に合流した。
「さっきから氣を使わせすぎてごめんな、凪」
「いえ、この程度問題ありません。」
「(・・・肩で息をしている・・・やっぱり氣は相当体力と精神を使うみたいだ・・・あまり多用できないな・・・)」
一刀は走りながら凪の顔をみる。
やはり無理をしているのだろう。
先程からかなり氣弾を打たせている。
凪の顔には大量の汗が流れている。
幸い担いでいた兵士は他の兵士に任せていたので
その分つかう体力は少ないが、氣弾を打つのと兵士を担ぎ移動するのでは元々体力の消耗のレベルが違う。
一刀はそれを視野にいれつつ、今後の敵の動きを考える。
「(・・・敵の狙いは俺・・・ならまだ伏兵がいることは間違いない。来る途中にひとつだけあった橋も間違いなく落とされているだろう。
そうなると・・・山道を行くか森を抜けるかの二択になるな・・・)」
一刀はそんなことを考えながらひたすら走っていた。
かなりの距離を休みなしで走った。
さすがに兵士達に疲れが見えてきた。
まだ凪達は兵士達に比べれば疲れの色を見せていないが、まだかなりの距離を走らなければならない
それを思うと一刀は焦った。少しでも早く魏の領内へとはいろうと。
「みんな!辛いだろうけど頑張れ!!」
「「おう!!」」
「(・・・それにしても・・・まだ伏兵がこない・・・俺ならそろそろ仕掛けるが・・・まー助かってるんだけどな・・・)」
一刀はそろそろ成都に来る途中にあった橋の近くに差し掛かるとそんなことを考えていた。
その橋は魏領は広大に続く荒野、蜀領は両側とも崖が聳え立っておりその右側は森、左側は山道へとつながっている。
しかも独特な地形をしており、崖とはいってもすぐに登れるほど低く、すぐに山道、森へと続いている。
「(・・・このまま進めばもう橋が見えてくるけど・・・)凪!敵の気配とかする?」
「・・・・いいえ、まったくといっていいほどしません。それより動物の気配すらあまり感じられません」
「・・・それもそれでおかしいとは思うが・・・まー人の気配がないならこのまま一気に橋を渡るぞ!(落とされていなければの話だが・・・落とされていたときはまた違う手段がある・・・)」
「はい!!」
凪の返事を聞き、前方を見る。あの橋が見えてきた。
幸い橋はまだ落とされていていない。
「よし・・・まだ橋は落とされていないな・・・全員!一気に駆け抜けろ!ここを抜ければ魏領に入れる!急げ!!!真桜、沙和、霞!三人は後方に移動!兵士が渡りきったら俺達も渡るぞ!」
「「「了解(なの)!!」」」
一刀の指示が無駄なく兵士達に伝わり、橋の目の前まで来た。
辺りに人の気配はない。渡れる。
前方の兵士達が渡り始める。これでなんとか振り切れる。全員がそう確信した
だが兵士の半分が橋を渡りかけたとき、変化が起こった。
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!
いきなり崖の上から矢の雨が飛んでくる。しかもそれは橋がつるされている縄に向かって一気に放たれた。
「!!!しまっ!!」
「「うわーーーーーー!!!!」」
がらがらがらがらがら!!!
気づいたときにはもう遅かった。橋を支えている縄が切れ無残にも橋は落とされてしまった。しかも半分の兵士が奈落へと落ちていく。
下は流れが速い川。高さもかなりある。
「くそ!(・・・魏領に入れると安心しきったとこでのこの奇襲・・・完全に相手の術中か!)」
「隊長!」
「慌てるな!!密集隊形をとれ!絶対に背中をがら空きにするな!」
一刀は動揺している兵士達に指示を出すと辺りを見回す。
崖の上には大量の五胡の兵士が弓を構えている。
「どうなってるんや!まったく人の気配せえへんかったのに!!」
「沙和にはまったくわからないの!」
沙和達が会話している横で一刀は考えていた。
「(間違いなく妖術だろうな・・・そんなことまで出来るとは考えてなかった・・・)」
そして五胡の第二波の矢が放たれる。
「くそ!」
一刀は刀を抜き
「山彦!!!」
再び防御に徹する。凪達もつぎつぎと矢を落としていく。
そして一旦矢が途切れる。そして一刀は兵士達に指示を飛ばす。
「真桜、沙和はここに残って兵士達を頼む!凪と霞は崖の左側を探索しろ!さっきと同じく術者か器具があるはずだ!俺は右側に向かう!」
「りょ、了解!」
「わ、わかったの!」
「は、はい!」
「お、おう!!」
一刀の指示が伝わるとそれぞれ行動を開始する。
一刀は彼が自分の世界で必死に鍛錬し身につけた移動術「縮地法」をつかい一気に崖を駆け上がった。
すると目の前には敵しかいなかった。だがその奥になにやら器具のようなものが二つ置かれている。
「(ひとつはこいつらの力の底上げ・・・もうひとつは気配を消すための器具だな!よし!)北郷一刀!いくぜ!!」
一刀は裏の型の構えをとり一気にその器具に向かって移動し始める。
当然のように敵も襲い掛かってくるが、
「北郷流・裏の型・三の太刀!!隼天武!!!」
一刀は刀をものすごい勢いで上下左右、斜め、あらゆる角度で刀を振り、敵を斬り払っていく。次々に倒れていく五胡の兵士。
四年間、凄まじい鍛錬を積んでいた一刀にとって、いくら底上げしている五胡の兵士とはいえ敵ではなかった。
そして器具まで一気にたどり着くと
「北郷流・裏の型・二の太刀!!真空断絶斬!!」
一刀は大きく飛び上がり上段に刀を構え、クルクルと前宙しながら一気に器具のひとつを叩き割る。
その瞬間赤く光っていた五胡の兵士の目は途端に光を失い、動きが止まる。そして一刀は残るもうひとつの器具を
「北郷流・裏の型・居合い術!!瞬狼刹牙!!」
一刀は素早く背中に背負っていた鞘を自分の左腰にあて、刀を納めると壊した器具から少し離れたところにあるもうひとつの器具に向かって一気に間合いを詰めて
刀を一気に抜き、器具を斬った。その刃の軌道が閃光のように器具を捉える。
そしてその勢いのまま斬った器具のほうへと体が回転しそのまま片膝をつきながら止まる。そして一刀は立ち上がるとクルクルと刀を回して持っている鞘を自分の目の前に縦にして持ちスゥーと刀を納めていく。
シャキン!!
ピキピキピキ・・・ガシャーーン!!
残っていた器具にヒビが入り、一気に崩れ去った。
すると五胡の兵士達は突然に倒れ始める。
「(・・・まー二つも妖術かけてれば解かれた時にくる反動は凄まじいだろうからな・・・普通の人間なら気を失って当然か・・・)」
一刀は刀を再び背中に背負うと真桜たちに合流するため来た道を戻り始めた。
だが、一刀を待っていたのは片膝をつきしゃがみこんでいた真桜と沙和、そして兵士達。
そして肩をに手を置き、その場に立ち尽くしている凪と霞だった。
幸い周りの敵はすべて倒されていたので、また矢の雨が降ることはなかったが、一刀はこの事実を受け止められずにいた。
「お、おい!どうした皆!!」
「たいちょ~すまん・・・」
「うぅ~ごめんなの~」
「くっ」
「・・・・」
皆、涙目になりながら一刀に謝っている。
「謝る必要ないから、何があったか話してくれ!」
一刀は状況報告を急がせる。
聞くと一刀と霞、凪が動き敵の相手をしている間に崖にいた兵士達がなにやら小爆弾のようなものを投げてきたらしい。
そしてその影響で体勢を崩されたところに再び矢の雨が降ったのだそうだ。
なんとか兵士達は守ったものの、その矢が片足に刺さってしまったらしい。
そしてそれを後ろを振り返り様子をみた凪が霞を呼び、霞も後ろを向いた瞬間に凪達にも矢が放たれたらしい。
一瞬のスキをつかれ、二人とも肩に矢がかすった。だが、沙和と真桜より武力のある二人はなんとか器具を壊し、五胡の兵士達は
一刀のときのように次々に倒れていったらしい。だがそのあとすぐに体の力が抜けていくことに気づいたそうだ。
「(・・・なるほど神経麻痺の毒だな・・・敵を倒すのではなく捕らえるなら神経麻痺のほうが確実だしな・・・司馬懿・・・さすがというしかないな)動ける兵士は?」
「はっ!我々40名です。そして軽症者が10人あとは先程の橋の崩壊で・・・」
「(・・・状況は完全にこっちが不利・・・そして、もし俺が敵の軍師なら・・・)」
「!隊長!後ろから砂塵です!あのあがりかたは・・・騎馬です!!!」
「(だよな~完璧な詰めだな・・・)どのくらいの距離かわかるか!?」
「はい・・・あともう少しでこちらまでやってきます。」
「(・・・この状況なら足場のしっかりしている山道に向かうのが上策だけど・・・司馬懿は読んでいるだろう・・・なら森に・・・いやでもそうなると神経麻痺している凪達では気が探れない。そうなると敵の奇襲があったときに全滅・・・動ける兵士は40人、軽症は10人、動けない兵士は凪達を含め24人・・・どちらに逃げても全滅するか・・・だが全滅するわけにはいかない・・・なら、俺のとるべき道は・・・)」
一刀はある決意と覚悟をきめた
凪達に背を向け彼方にあがっている砂塵を見ながら、一刀は決断する。
一刀の指示をじっと待っている凪達に振り返ると
「凪、霞、こっちへ」
「「??」」
一刀は真桜たちに近づくと凪達にこちらに来るように指示をだした。
凪と霞は顔を見合わせて一度首をかしげると一刀に言われるままに真桜たちの横にきた
そして一刀は真桜と沙和の両側にいた凪と霞を抱きしめそのまましゃがみ込み四人を抱き寄せた。
「た、隊長!?」
「か、一刀!?」
「「た、たいちょ!?」」
「「「!!!!」」」
その場にいた誰もが突然の一刀の行動に驚きと動揺を隠せない。
一刀はそんなことお構いなしに力強く四人を抱きしめる。
そして優しい声色で四人に話しかける。
「・・・ごめんね・・・俺のせいでみんなに怪我させちまって・・・」
「そ、そんなの隊長のせいではありません!」
「そやで!うちらが一刀の指示通りに動けんかっただけやで?」
「うんうん」
「うちらこそ、すまへんな隊長」
一刀の言葉にみんなが返答を返した。
一刀は目を閉じ、
「ありがとう」
その一言を言う。
そして
「ごめんね・・・華琳を・・・頼む」
「「「「え?」」」」
一刀の言葉が皆に伝わった瞬間
ドスッドスッドスッドスッ!!!!
「「「「「!!!!」」」」」
一刀の素早い拳が彼女達の鳩尾を捉えていた。
いくら凪達とはいえ不意打ち、さらには神経麻痺の毒がまわっている今一刀の動きにはついていけなかった。
真桜と沙和はなにもいえずにそのまま地面に倒れこんだ。
凪と霞は鳩尾を押さえながら地面に額をつけてうずくまっている。
そんな霞と凪に追い討ちをかけるように一刀は凪と霞の二人にに首に手刀を当てる。
「ガッ・・・た、隊長・・・」
「・・・か、一刀・・・」
そして二人ともそのまま地面に倒れた。
四人が気を失ったのを確認した一刀はスクッと立ち上がった。
「た、隊長!!何を!!!」
「一刀様!!!」
兵士達が一刀の行動を咎めるように大きな叫び声を上げる。
一刀は兵士達に向きかえると
「お前達全員に指示をだす。そちらの森側を南下してしばらくいったところにもうひとつ橋がある。これは前にみた地図に載ってたから間違いない。
お前達は動けないものを背負い、その橋を渡り、魏領に戻れ。そして許昌へと帰還しろ。いいか、許昌に戻るまでけして止まるな。」
「か、一刀さまは!?」
「俺は・・・時間を稼ぐ。お前達が橋を渡りきるまでな。そして頃合をみて俺も山道を抜けて魏領へ戻る。」
「な!?お一人ではないですよね!?」
「・・・俺一人だ。」
「!?な、何を言われるのですか!?」
「敵の狙いはあくまで俺の捕獲、なら俺とみんなは別行動のほうがいい」
「そんなことできるわけありません!!なら隊長が楽進様を連れてお逃げください!!」
「・・・残念だけど、お前達では司馬懿や曹仁たちの相手はできない。」
「し、しかしそれでもなんとか時間を稼げます。それに私たちの代わりなどいくらでも-----」
「!!馬鹿なことを言うな!!!!」
「「「「!!!!!????」」」
一刀はある兵士がいった「自分達の代わり」という言葉に対して皆を一喝した。
さすがに兵士達は言葉を止め、ビクッと体が震えた。
「いいか!?ここにいる全員!大事な兵士なんだ!お前達の代わりになれるものなど誰一人としていない!!お前達一般兵一人一人が集まってこその魏の精兵なんだぞ!!」
「「「!!!!」」」
「そして、この撤退戦はあくまで前哨戦だ!これから司馬懿たちの率いる五胡と戦うことになる。それなのにこんなところでこれ以上大事なお前達を死なせられるか!!」
「し、しかし!!」
「いいか!お前達には俺の代わりに凪達を魏領へと無事に届けてもらわなければならないんだ!こいつらの力は絶対にこれから戦うためにも必要なんだ!」
「・・・」
「残念だけど今回は俺には凪達を届けることはできない・・・なぜなら先程から言っているが敵の狙いはこの俺なんだ!俺と一緒にいたらこいつらまで死なせてしまうかもしれない」
一刀は倒れている四人を手の掌を広げて指すように示す。
そして片手を胸につけ地面に顔を伏せ、訴えるように兵士達に言葉を続ける。
「凪達三人は俺にとって始めての部下だ・・・そしてこんな俺でも慕ってくれて四年前に勝手に消えた俺に対しても許してくれて、今でも俺についてきてくれている。それに霞も消える前から数々の戦闘をともにしてきた大事な仲間だ。そしてこんな俺を四人とも好きだといってくれた・・・だからこそ俺は俺の大好きな四人をこんな所で死なせられない!」
顔を上げて今まで話していた声より大きな声で兵士達に語りかける。
兵士達は先程までは色々と一刀の言葉に対して発言していたが、今はおとなしく聞いている。
「・・・俺は・・・こいつらにもっと生きてほしいんだ。こんな戦場で四人を死なせたくないんだ・・・こんな冷たい地面の上でなんかで死なせたくない・・・だから・・・」
「「「!!!」」」
一刀は地面に目を向けたまま兵士達に向かって頭を深く下げる。
「頼む!!俺の大事な四人を無事に華琳の元へ届けてほしい!!頼む!!!」
暫くの間長い沈黙が訪れる。その間にも確実に砂塵が近づいてくる。
「・・・わかりました。一刀様の決意と命令!必ずやり遂げて見せます!!」
「ですから・・・一刀様!どうか、どうか無事に我々の元へ」
「・・・当たり前だろうが、俺は華琳の物だからな。他の誰の物にもならないさ。かならずまた皆のところに戻る。」
「「「はい!!!一刀様!御武運を!!」」」
「あぁ!お前達も頼むぞ!」
「「「はっ!!!」」」
兵士の皆が一刀に敬礼する!
そして気を失っている凪達を肩に担いで崖を上り、森の方へと入っていった。
森にも多分少なからず伏兵がいるはずだが、一刀はあいつらなら大丈夫と確信した。必ず凪達を華琳の元に届けてくれると・・・・
「さて・・・と」
一刀は森の方に体を向けたまま首を近づいてくる砂塵へと向ける。
かなり多くの騎馬があるのだろう、砂塵のあがり方が尋常ではない。
やはり司馬懿はここで一刀を捕らえる策だったのだろう。
なら、森に配置されている敵兵は少ないと一刀は考えていた。
そして再び森のほうへと首を動かし背中にしまっていた刀を抜き両手で柄を持ち、自分の顔の前に刀を縦にして構え自分の額を刀に軽く当てる。そして目を閉じた。
「(・・・爺ちゃん・・・今俺にとって爺ちゃんが言ってた、一番大切なときが来たよ・・・愛する人たちを守るため・・・俺のすべてをぶつける時が・・・)」
一刀の中で今まで爺ちゃんの元で修練を重ねてきた日々が次々に一刀の脳裏を駆け巡る。
「(・・・爺ちゃん、本当にありがとう。四年前までなんの力もなかった俺がこんな覚悟を決められたのも爺ちゃんのおかげだ。
華琳・・・俺は必ずまた君の元へ戻る。そのために・・・俺が今までやってきたすべてを・・・全身全霊で敵にぶつける!!!!!)」
目を勢いよく開き、一刀は腕をおろし、そのまま砂塵のほうへと体を向ける。一刀の決意の象徴である「天魏・一文字」の刀身が太陽の光で光っている。
一刀はチラリと自分の手に持っている刀を見つめ、再び目を閉じ、スゥ~と息を吸い、ゆっくりとはいた。
脳裏に華琳達の顔が浮かんでは消えていく。今、まさに一刀は死地に入ろうとしていた。
だが死ぬつもりはない。負けない覚悟を持ち、再び勢いよく目を開き、天に向かって叫ぶ。
「北郷一刀!!!全力でいくぜーーーーーー!!!!」
右手に持っている刀を一度軽く自分の前でなぎ払いをするとそのまま体を半身にし右腕を平行にし、左腕をくの字に曲げ、
「うおおおおおらああああああああーーーーーー!!!!!」
先程と同じく天に轟くほどの雄たけびを上げながら敵の砂塵へと突っ込んでいった。
今、一刀と司馬懿たちの死闘が始まったのである。
続・恋姫無双第二部第四話「覚悟」終
どもども晴嵐です~
え~今回の物語でなんだかんだで21話目になります~
これも皆さんにコメントを頂き、たくさんの方の支援のおかげです。
この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございますm(_ _)m
さて今回の物語ですが、少しご都合主義があるところも多々あるかもですがその辺は暖かい目で見守っていただけると幸いです。
感想やご意見など頂けるととても嬉しいです
そして次回はいよいよ一刀と司馬懿達の死闘に入ります。数は圧倒的に不利、この状況で一刀はどうなるのか。
その辺りを書いていこうと思います
UPは不定期なのでいつになるかはわかりませんが何卒最後までお付合いのほどよろしくお願いしますm(_ _)m
それでは第五話でまたお会いしましょう。
最後に読んでくださった読者の方、本当にありがとうございましたm(_ _)m
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作品UPしました~
今回はかなりご都合主義があるあもしれませんが
何卒温かい目で見守ってください【T_T】
2009-11-05 16:43:09 投稿 / 全6ページ 総閲覧数:7992 閲覧ユーザー数:5655