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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第103話

2020-09-23 01:27:30 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1771   閲覧ユーザー数:1421

 

 

 

~吸雷の暗礁領域~

 

「コォォォォ………ハアッ!!」

「エニグマ駆動――――――私達に守りの力を!ラ・クレスト!!」

「エニグマ駆動――――――空なる魔法の加護を。フォルトゥナ!!」

戦闘を開始するとオリエは自分自身を強化するクラフト――――――ブレイドダンスを発動し、セレーネとアルティナはそれぞれ守りを固めるアーツを発動して自分達の守りを固めた。

「どうかしら?ハッ!!」

「くふっ♪逃げられないよ?――――――三連制圧射撃!!」

エンネアとエヴリーヌはそれぞれ先制攻撃としてクラフト――――――デビルスアロー、三連制圧射撃をバルディエルに放ったが

「邪魔だ!」

バルディエルは上位電撃魔術を込めた槍による薙ぎ払いで襲い掛かる無数の矢を一振りで薙ぎ払って無効化した。

 

「消えろ!」

続けてバルディエルは雷を纏った衝撃波を解き放つクラフト―――雷光砕破で反撃し

「負の刃を受けるがいい!」

レーヴェはクラフト――――――ケイオスソードを放って襲い掛かる雷の衝撃波を相殺した。

「二の型――――――疾風!!」

「ふふっ、見切れますか?――――――セイッ!!」

「ぬっ!?」

そこにエリゼとデュバリィがそれぞれ凄まじい速さで攻撃する一撃離脱のクラフトを叩き込んでバルディエルにダメージを与え

「頭がお留守だぜぇ!鷹爪撃!!」

「砕け散れ――――――兜割り!!」

「がっ!?」

更にフォルデとアイネスがそれぞれ跳躍してバルディエルの頭上から奇襲して追撃した。

 

「崩したぜ!」

「崩した!」

「追撃します!」

「――――――」

「続きます!」

バルディエルが態勢を崩すと二人とそれぞれリンクを結んでいたアルティナとオリエが追撃をバルディエルに叩き込んだ。

「走れ、雷よ!!旋風爆雷閃!!」

「「「「!!」」」」

反撃に放ったバルディエルの魔術によって発生した爆発を起こしながら直線状に襲い掛かってきた稲妻を散開して回避した。

 

「慈悲神アイドスよ、裁きの槍を今ここに――――――メギドの神槍!!」

その時時間をかけて長めの詠唱を必要としていた究極神聖魔術を発動したユリーシャがバルディエル目掛けて凄まじい光の魔力が凝縮させた魔力の槍を放ったが

「雷槍よ、貫け――――――雷天使の神槍!!」

バルディエルは膨大な雷の魔力を込めた槍を解き放つ魔術で対抗した。本来ならば魔術の”格”ではユリーシャが圧倒的に上であるはずのメギドの神槍が打ち勝っていたが、バルディエルはユリーシャよりも位階が2段階も上の”主天使”だった為”能天使”のユリーシャよりも圧倒的に”力”もある為、バルディエルが放った魔術はユリーシャが放った究極魔術を相殺した。

「うふふ、いくら”魔神”と化しようと”堕ちて”はいないからこれは効くわよね?――――――ティルワンの死磔!!」

「ぐがあああああ……っ!?」

そこにベルフェゴールがバルディエルを死磔領域に閉じ込めてダメージを与える暗黒魔術を叩き込み、天使である為暗黒属性が弱点であるバルディエルはベルフェゴールの魔術を受けると苦しんだ。

 

「エニグマ駆動――――――ダークマター!!」

「ぬう……っ!?」

ベルフェゴールの魔術が終わるとセレーネがアーツで追撃すると共にバルディエルをその場に拘束してバルディエルの動きを止めた。

「貫け――――――竜破斬!!」

「見切ってみなさいな――――――斬!!」

「むんっ!爆灰鐘!!」

「砕け散りなさい―――――ハァァァァァ……ッ!業刃乱舞!!」

「ちょいと本気を出すぜ――――――らあぁぁぁぁ……ッ!業槍乱舞!!」

「貴様には見切れまい――――――エクスヴェングス!!」

「フラガラッハ――――――滅!!」

「――――――!」

バルディエルの動きが止まるとエリゼ、デュバリィ、アイネス、オリエ、フォルデ、レーヴェ、アルティナはそれぞれが扱えるクラフトの中でも高威力のクラフトを次々とバルディエルに叩き込んだ。

 

「ぬぅぅんっ!!」

エリゼ達の総攻撃を受けたバルディエルは反撃に雷を纏いった聖槍による薙ぎ払い――――――闘雷の薙ぎ払いで反撃したエリゼ達はそれぞれ大きく後ろに跳躍して回避した。

「滅しなさい――――――死天滅殺弓!!」

「死んじゃえばあっ!?アン・セルヴォ!!」

「ぐがあ……っ!?」

そこに命中した瞬間8つに分裂した矢が一斉に襲い掛かるエンネアのクラフトの中でも最も威力が高いクラフトとエヴリーヌが放てるクラフトの中でも最も威力が高いクラフトがそれぞれバルディエルに命中してバルディエルに更なるダメージを与え

「ルン=アウエラ!!」

「エンドオブワールド!!」

「アルジェントアーク!!」

更に仲間達が攻撃している間に詠唱や駆動を終えたベルフェゴール、セレーネ、ユリーシャはそれぞれ最高位の魔術やアーツをバルディエルに放って命中させた。

 

「力……失われる……我が光が……っ!?」

3人の最高位魔術、アーツをまともに受けた事でダメージが限界に来たバルディエルはその場でよろけかけたが

「さらなる……光よ……雷よ……我に力を……!」

すぐにエリゼ達に反撃する為に力を貯め込み始めた。

「往生際が悪い天使ですわね……!いい加減倒れやがりなさい!オォォォォ――――――ッ!」

それを見たデュバリィは分け身を作って分け身達と共にバルディエルの周囲を縦横無尽にかけながら無数の斬撃を叩き込み

「止めですわ!プリズム―――――キャリバー――――――ッ!!」

止めに凄まじい光を纏わせた斬撃をバルディエルに叩き込んだ!

「ぐ、うっ……何だ、この光は……圧倒的なまでの光……ぐあああああっ!?」

そしてデュバリィのSクラフトを受けたバルディエルは悲鳴を上げて地面に跪いた!

 

「何とか無力化できましたか……」

「フー……”はぐれ魔神”はさすがにヤバい相手だったが、こっちにも対抗できる連中がいたお陰で何とかなったな。」

「ま、久しぶりに”そこそこ”楽しめたよ、キャハッ♪」

「うふふ、私達はそこらの”魔神”とは”格”が違うのよ♪」

バルディエルの様子を見たセレーネとフォルデは安堵の溜息を吐き、フォルデに視線を向けられたエヴリーヌは口元に笑みを浮かべ、ベルフェゴールはウインクをした。

「まだ息はあるようですが……先程と違い、我々に向けていた敵意はありませんね。」

「ええ……恐らく今の一撃を受けて正気に戻ったようですね。」

バルディエルの敵意がなくなった事に気づいたオリエの言葉にユリーシャは頷いた。

 

「飢えが…………渇きが………消えた……?長きに渡る苦悶が、このような形で取り払われるとはな……―――感謝するぞ、人の子達と同胞よ。」

正気に戻ったバルディエルは自分の状態に驚いた後エリゼ達を見回して感謝の言葉を述べた。

「感謝……ですか?」

「恐らくは自身の正気を戻した事に対する感謝なのだろう。」

バルディエルが自分達に感謝している事を不思議に思っているアルティナにレーヴェは自身の推測を答えた。

 

「正気に戻ったのであれば聞きたいのだが……其方は”天使”でありながら、何故このような暴虐をつくしたのだ?」

「そうね。確か”天使”って異世界(ディル=リフィーナ)では”正義の象徴”とも称されていて、天使達自身もそれぞれの”正義”を持っているのでしょう?この暴虐も貴方の”正義”なのかしら?

アイネスのバルディエルの質問に続くようにエンネアは静かな笑みを浮かべてバルディエルに対して皮肉を口にした。

「我にとっての正義など、死滅して久しい。我は主を持たず、 現神(うつつかみ)と戦い続けて来た。貴様らの分類にあわせるならば、”はぐれ魔神”とでも呼ぶべき存在だ。」

「その割には自我すら保ててなかったようだけど?」

バルディエルの説明を聞いてある事が気になったベルフェゴールは問いかけた。

 

「現神に対抗する力を手に入れるため……我は先史文明期の遺物を、体内に取り込んだのだ。その代償が、あの様だがな。力を維持するために、我が肉体は、光と雷を求め続けた。やがて我に付き従う者たちすら食らいつくし、何人をも寄せ付けぬ、異形と化してしまった。せめてもの抵抗として、この領域を生み出して、自らを閉じ込める事しかできなかったのが、悔やまれる。」

「要するに貴方自身の未熟が一番の原因でしょうが。無関係の私達を巻き込んだ事に対して色々と言いたい事はありますが……私達にはやる事がありますから、こんな所でこれ以上無駄な時間を過ごしたくありませんの。ですから、とっとと私達をこの領域から解放しなさい!」

バルディエルが説明を終えるとデュバリィはジト目でバルディエルを見つめて指示した。

「そうだな。改めて礼を言おう。自我を失っていたとはいえ、我は貴様らに敗れた。共に戦う仲間は既に亡く、戦うべき敵は、既に覇権を手にしている。もはや我一人で覆せる状況ではないのだろう。今更、現神に下るつもりにもならぬ。―――人間、貴様の名は。先程の光を纏いし一撃……見事だった。」

「へ………”槍の聖女”直属の部隊である”鉄機隊”が筆頭”神速のデュバリィ”ですわ。」

突如バルディエルに名前を問われたデュバリィは呆けた後すぐに気を取り直して名乗った。

 

「フッ……”神速”か。―――いいだろう。我が雷をも超える速さを名乗りし者よ、我を解放した礼にこれより我は貴様の軍門に下ろう。」

「へ。」

「あら………」

「”軍門に下る”……ということは其方はデュバリィに仕えるという事か?」

「ええ……”はぐれ魔神”を”力”で降したのですから恐らくはベルフェゴール様達のように”使い魔”という形で仕えるのだと思います。」

そして不敵な笑みを浮かべたバルディエルの申し出を聞いたデュバリィは呆け、エンネアは目を丸くし、不思議そうな表情を浮かべて呟いたアイネスの推測にエリゼは戸惑いの表情で頷いた。

 

「我は、光さえも喰らう”雷天の覇者”バルディエル。” 神速”よ、我が雷光の力を存分に振るうがいい。」

「ちょっ……!?」

バルディエルは光の球体となってデュバリィの返事を聞かずにデュバリィの身体の中に入った!

「おいおい……マジかよ……」

「お兄様達に仕えている使い魔の方々がそれぞれの主に戻る光景と同じ……という事はバルディエルさんはデュバリィさんの”使い魔”になったという事ですわね。」

その様子を見ていたフォルデとセレーネは信じられない表情をし

 

「ほう?よかったじゃないか、デュバリィ。”はぐれ魔神”を従えたという事実を知ればマスターも驚くと共にお前の成長を喜ぶだろうな。」

「もしくは”神速”にバルディエルを御しきれかどうか心配するかもしれんがな。」

「ふふっ、それに異種族と契約を交わしたことで”灰色の騎士”と”御揃い”になったわね♪」

アイネスは感心した様子で、レーヴェは呆れた表情で、エンネアは微笑みながらそれぞれデュバリィに声をかけ

「戯言は止めてください、エンネア!異性が私の身体に勝手に住み着く等言語道断ですわ!なんでこんなことになったんですの――――――ッ!!」「

声をかけられたデュバリィは反論した後思わずその場で叫んだ。

 

その後バルディエルがいた場所にあった転移魔法陣によって元の場所へと戻ったエリゼ達は作戦の為にトールズ士官学院へと急ぎ始めた。

 

~トールズ士官学院・グラウンド~

 

「ハアッ!」

一騎打ちを開始したベアトリースは空から凄まじい速さで襲い掛かり

「セイッ!――――――緋空斬!!」

「甘い!」

ベアトリースの奇襲攻撃を太刀で受け流したリィンはベアトリース目掛けて炎の斬撃波を放ったがベアトリースは連接剣で襲い掛かる炎の斬撃波を一閃して無効化した。

「貫け!」

「!エニグマ駆動――――――ソウルブラー!!」

ベアトリースは連接剣を伸長させて攻撃するクラフト――――――連接剣伸張でリィンに攻撃し、襲い掛かる連接剣の刃を回避したリィンは僅かな時間で駆動を終えられる攻撃アーツを発動してベアトリースに放った。

 

「鬱陶しい!ハァァァァァ………ッ!」

襲い掛かる時の刃を連接剣で一閃したベアトリースはリィンに襲い掛かって次々と連接剣を振るい

「オォォォォ……ッ!」

対するリィンも太刀を振るい続けて次々と繰り出すベアトリースの攻撃を受け流していた。

「容赦はしない――――――電撃剣!!」

「燃え盛れ………龍炎撃!!」

ベアトリースが繰り出した魔力による雷を宿した一撃に対してリィンが繰り出した闘気による炎の竜の一撃がぶつかり合うと二人と中心に凄まじい衝撃波が発生し、衝撃によって二人はそれぞれ吹き飛ばされた。

 

「まさか人間が”飛天魔”であるこの私と渡り合えるとは………ふっ、どうやら加減する必要はなさそうだな……!」

「さすがは音に聞く”飛天魔”………結社の”執行者”達や”西風の旅団”の猟兵達よりも遥かに手強い……だけど、”絶対に勝てない相手ではない”……!」

吹き飛ばされた事でリィンとの距離を取たされたベアトリースはリィンの強さに驚いた後不敵な笑みを浮かべ、リィンはベアトリースの強さを分析した後決意の表情を浮かべてそれぞれ攻撃を再開した。

「闇よ、貫け――――――封印王の槍!!」

「―――今だ!二の型――――――疾風!!」

ベアトリースが魔術によって発生した暗黒の槍をリィンに放つとリィンはベアトリースに向かって走りながら暗黒の槍が自分に命中する瞬間に電光石火の斬撃を放つクラフトを発動してベアトリースに奇襲し

「何……ッ!?」

リィンの回避と奇襲に驚いたベアトリースだったが瞬時に電光石火で襲い掛かるリィンの斬撃を自身の得物で受け流した。

「緋空斬!!」

「ハッ!―――そこだッ!」

攻撃を受け流されたリィンは続けて炎の斬撃波を放ち、斬撃波を見たベアトリースは空に退避した後空からリィン目掛けて奇襲した。

 

「セイッ!」

「連接剣の恐ろしさを知るがいい!」

ベアトリースの空からの奇襲をリィンが太刀で受け流すとベアトリースは自身の得物に暗黒の魔力を宿した後鞭のようにリィン目掛けて無数に振り回してリィンに追撃した。

「ぐ……っ!?」

暗黒の魔力を宿した剣舞―――暗黒剣舞によって身体のいくつかを斬られてダメージを受けたリィンは呻き声を上げた。

「滅せよ――――――電撃剣!!」

そこにベアトリースが電撃を宿した連接剣でリィンに襲い掛かったが

「!四の型・改―――紅蓮切り!!」

「う……ッ!?」

リィンは後ろに跳躍して回避した後すぐに反撃をベアトリースに叩き込んでベアトリースにダメージを与えた。

 

「刃よ、伸びよ!!」

「二の型――――――大雪斬!!」

「何……ッ!?く……っ!?」

すぐにダメージから立ち直ったベアトリースはクラフト――――――連接剣伸張でリィンに攻撃するとリィンはその場から跳躍して回避した後ベアトリース目掛けて太刀を叩き込もうとし、リィンの回避と反撃に驚いたベアトリースは側面に跳躍して回避しようとしたが回避が一瞬遅れた為リィンの攻撃がかすって僅かなダメージを受けた。

「馬鹿な……人間が”飛天魔”であるこの私に傷をつけるだと……それも1度どころか2度も………ッ!」

ベアトリースはリィンに斬られた部分から血を流している自身の身体を見て信じられない表情を浮かべた後唇を噛み締めてリィンを睨んで反撃を開始した。

「闇に呑まれよ――――――ティルワンの闇界!!」

「これは……!二の型――――――疾風!!」

ベアトリースが発動した魔術によって闇世界に引き込まれたリィンはベルフェゴールが扱える更に上位の魔術でベアトリースが発動した魔術を知っていた為、自身の現状を知るとすぐに闇世界から脱出する為に凄まじい速さで闇世界を駆け抜けて攻撃範囲外へと脱出した。

 

「ハアッ!」

「!?くっ、太刀が……!」

リィンが闇世界から脱出すると連接剣がリィンに襲い掛かり、瞬時に攻撃に反応したリィンは太刀を構えたが連接剣によって太刀は絡められて身動きが取れなくなった。

「”ティルワンの闇界”から逃れた事には正直驚いている……だが、得物が無力化された以上、君の負けだ……!」

自身の得物でリィンの得物を絡めたベアトリースは自身の勝利を確信し、不敵な笑みを浮かべた。

「……確かに”剣士”が剣を失えば、普通は敗北を認めるだろう。――――――だけど、生憎”八葉一刀流”は”剣技”だけじゃない……!」

「な――――――」

対するリィンは静かな表情で答えた後何と手から連接剣に絡められている太刀を手放して一気にベアトリースとの距離を詰め、剣士であるリィンが剣を手放すというリィンの予想外の行動によって虚を突かれたベアトリースが驚きの表情を浮かべて固まったその時

「無の型――――――破甲拳!!」

「カハッ!?」

ベアトリースとの距離を詰めたリィンは渾身の力を込めた掌底をベアトリースに叩き込んだ!

「ぐっ……!?」

渾身の力を込めた掌底をまともに受けた事で全身にも衝撃が伝わったベアトリースは呻き声を上げて地面に膝をつき

「――――――俺の勝ちだ、ベアトリース。」

「!!くっ……ありえない………”飛天魔”であるこの私が一騎打ちで人間に……ッ!」

そしてベアトリースの顔ギリギリに拳を繰り出したリィンは勝利を宣言し、目の前に拳を繰り出されたベアトリースは悔しさによって唇をかみしめながら自身の敗北を認めた。

 

「リィンさん……!」

「――――――見事よ、リィン。」

「ふふっ、私達からすれば”無茶”と思えるような事すらやり通す所も相変わらずですね。」

「八葉一刀流の”無手”……まさか一騎打ちで太刀が封じられた瞬間すぐに無手で一気に勝負を決める臨機応変な判断ができるなんて、凄いな……」

「ふふっ、これでまた武勲が増えましたわね、リィン少将閣下♪」

「兄様……ご無事で……本当によかった……」

二人の一騎打ちを見守り、リィンの勝利がわかったアルフィンは明るい表情を浮かべ、エーデルガルトとステラは口元に笑みを浮かべ、クルトは驚きの表情を浮かべ、ミュゼは微笑み、エリスは安堵の表情で溜息を吐き

「ま、まさかあの”飛天魔”相手に一人で勝利するなんて、正直驚きましたよね……」

「ええ……フフッ、お父様にファーミシルス様達の援軍は必要なくなったことを知らせないとね。」

驚きの表情で呟いたツーヤの言葉に微笑みながら頷いたプリネは通信機を取り出して通信を開始した。

 

「まさか貴族悪魔の中でも秀でている”飛天魔族”に一人で無力化するなんて……ご立派ですわ、リィン様……」

「あ、ありえません……人間が一人で”飛天魔”に勝利するなんて……!」

「フム……あの勝利は”慈悲の女神(アイドス)”の力によるものか、もしくは主の”英雄としての力”によるものなのか、どちらにせよ、益々君の事が興味深くなったよ、主。」

メサイアはリィンの勝利に驚いた後微笑み、ルシエルは信じられない表情を浮かべ、レジーニアは興味ありげな表情を浮かべてリィンを見つめた。

 

「バ、バカな……ベアトリース様がたった一人の人間如きに敗れるだと……!?」

「し、信じられん……!私達は夢でも見ているのか……!?」

「フフッ、あの黒髪の人間の精気はさぞ美味しいでしょうね。」

「ええ……何せベアトリース様を一人で破る力の持ち主だもの。しかもベアトリース様程の強敵を相手にした後なのだから、”アソコ”もさぞ精気が溜まっているでしょうね。」

一方飛天魔達はベアトリースの敗北に信じられない表情を浮かべ、リリエール達は妖艶な笑みを浮かべてリィンを見つめていた。

「くっ……調子に乗るなよ、人間……!誇り高き”飛天魔”である我らが人間如きに敗北する等認めてなるものか……!」

「!!」

そして一人の飛天魔が唇を噛み締めた後敵意をリィンに向けて攻撃の構えをし、それに気づいたリィンが身構えたその時

「――――――やめろ!貴様、それでも誇り高き”飛天魔”か!?」

「し、しかしベアトリース様……ッ!」

ベアトリースが制止の声を上げてリィンに敵意を向けた飛天魔を睨み、睨まれた飛天魔は困惑の表情で反論しようとした。

 

「私はリィンに一騎打ちで敗北すれば、お前達と共にリィン達に投降する”約束”をした!そしてリィンは正々堂々とした一騎打ちで私を破った!当然敗北した私をリィンとの”約束”を果たさなければならない。貴様はその”約束”を破る事で私がリィンに嘘をつくという私の”誇り”を穢すつもりか!?もしそのつもりであるのならば、リィンの前に私が相手になり、貴様の首を撥ねる!」

「そ、それは……―――申し訳ございません、ベアトリース様……!」

全身に凄まじい闘気や魔力を纏ったベアトリースに睨まれた飛天魔は口ごもった後すぐに謝罪した。

「――――愚かな部下が失礼をした、リィン。」

「いや、俺はそんなに気にしていないさ。それよりも約束通り、全員俺達に投降してくれるんだよな、ベアトリース?」

「ああ。”敗者”である私は”勝者”である君の要求を受け入れる。――――――ただ私の身はどうなってもいいが、できれば部下達には手荒な真似をしないでもらいたい。」

「その点は安心してくれ。貴女達は意図してメンフィルの敵になった訳ではないのだから、陛下達も貴女達に対する処遇は穏便な内容にしてくれるだろうし、俺も俺自身が頼める人脈を使ってでも貴女達の処遇を穏便な内容にしてもらえるように陛下達に進言するつもりだ。」

「……感謝する、リィン。」

リィンから今後の自分達の処遇を穏便な内容にしようとする事を知らされたベアトリースは安堵の表情を浮かべた後リィンに感謝の言葉を述べた。

 

「フフ…………どうやら、私達の助太刀は必要なくなったようね。総員、本陣に撤収。」

「ハッ!」

一方リィン達の様子を遠くから見守っていたファーミシルスは口元に笑みを浮かべた後自分が引き攣れた飛天魔達に撤収の指示を出し

「幾ら古神の力を借りていたとはいえ人間の身でありながら、一人で”飛天魔”を破った事は見事よ、リィン・シュバルツァー。」

そしてファーミシルスは振り返ってリィンを見つめてリィンに対する称賛の言葉を口にした後本陣へと撤収した。

 

その後エリゼ達と合流したリィン達はベアトリース達によって予め守備の兵達が殲滅されていた事で無人になっていたトールズ士官学院を容易に制圧した後そのままトリスタに向かい、メンフィル軍本陣や本陣と共に戦っていた灰獅子隊の面々とトリスタの残存兵達を挟撃し……その結果既にトリスタが制圧された事で心が折れたエレボニア帝国軍の残存兵達は降伏を申し出……残存兵達が降伏を申し出るとリィン達も戦闘を中止し、残存兵達の武装解除や捕縛等を行った。

 

また……治療されたルシエルの部下の天使達は全員ルシエルについていく事を希望し……その結果ルシエルの部下の天使達もリィン隊に組み込まれることになり……更にリィン達に降伏したベアトリースの部隊の処遇はリウイとリフィアの判断によってベアトリースも含めてリィンに委ねられることになり……ベアトリース達の処遇を委ねられたリィンはベアトリース達に捕虜から解放し、異世界(ディル=リフィーナ)に帰還する手配をする事を伝えるとベアトリースはリィンの軍門に下る為その必要がなく、自身はリィンの指揮下で戦う事を希望している事を伝え……更にベアトリースが引き攣れていた飛天魔や睡魔達も自分達を率いていたベアトリースがリィンの軍門に下るのであれば、自分達もベアトリースと共にリィンの指揮下で戦う事を希望していた為、ベアトリース達もリィン隊に組み込まれることになり、その結果灰獅子隊にかつてルシエルが率いていた天使の精鋭部隊とベアトリース率いる飛天魔と睡魔の部隊という強力な戦力が加わることになった。

 

 

数時間後―――

 

同日、PM8:00―――

 

~レヴォリューション・リィン少将の部屋~

 

「フウ……ようやく終わったか……」

作戦終了から数時間後、メンフィル帝国本陣に提出する報告書の作成を終えたリィンは一息ついた。

(ルシエルの部下だった天使達に加えてベアトリース達まで灰獅子隊(おれたち)の部達に加わる事になるとは思わなかったな………そういえばベアトリースは俺に従うみたいなことを言っていたけど……まさか、ベアトリースは今後俺をベアトリースの”主”として仕えるつもりなのか……?確か飛天魔族は敗北すれば、その降した相手の軍門に下るという話も聞いた事があるが……)

「リィン、少しいいだろうか?」

リィンが椅子に座りながら天井を見上げて考え込んでいると扉がノックされてベアトリースの声が聞こえてきた。

「その声は……ベアトリースか。ああ、大丈夫だ。」

「―――失礼する。」

リィンが入室の許可を出すとベアトリースが部屋に入ってきた。

 

「傷はもう大丈夫なのか?」

「ああ、そもそもエレボニアや天使達との戦いでも大した傷は負わなかったし、リィンとの一騎打ちでも決定打となったのはリィンの掌底による打ち身だから問題はない。」

「そうか……それで俺に何の用だ?」

「部下達の今後についても一段落ついた事だし、私が正式に君の配下に加わろうと思ってな。その件についての話をしに来た。」

「その件か……”飛天魔族”は敗北すれば、その降した相手の軍門に下る話も知っていたが……本当にベアトリースは俺を”主”として仕えるつもりなのか?」

ベアトリースの話を聞いたリィンは戸惑いの表情を浮かべてベアトリースに訊ねた。

 

「ああ。君は一騎打ちで見事私を打ち破った。その君の軍門に下る事に迷いはない。」

「ベアトリースは他の飛天魔族や睡魔族を率いる立場の人物なんだろう?君に従っている他の魔族達は君のその判断に納得しているのか?」

「勿論だ。あの者達にはこの戦争の終結後メンフィルに所属するなり、放浪するなり好きにしろと伝え、全員私の指示に了承している。――――――まあ、睡魔達は君が希望するのならばいつでも”夜の相手”をするとも言っていたがな。」

「……えっと、彼女達の申し出はありがたいが、生憎俺にはもう既に契約している睡魔がいるから、好意だけ受け取っておくよ。」

(ご主人様ったら勿体ない事をしているわね~。睡魔達――――――それも私と同じ女王種の睡魔の”リリエール”との乱交なんて、中々体験できないわよ♪)

(ベルフェゴール様……リィン様はお父様のように女性を抱ける機会があれば、いつでも抱くような性欲旺盛な方ではありませんわよ……)

(そもそも、睡魔達との乱交等下手をすれば我が主の命に関わる事をわかっていて、貴女はそのような戯言を口にしているのですか?)

(フム……あたしはそうは思わないな。何せ主は睡魔の魔神であるベルフェゴールを”性魔術”で屈服させたのだから、主がその気になればその睡魔達も纏めて屈服できるんじゃないかい?)

(以前まではともかく、私達の力も加わっている今のリィンならレジーニアの言った事も冗談にならないかもしれないわね……)

ベアトリースの話を聞いて冷や汗をかいて表情を引き攣らせたリィンはすぐに気を取り直して苦笑しながら答え、二人の会話を聞いていたベルフェゴールはからかいの表情で答え、ベルフェゴールに対してメサイアは呆れた表情で、ユリーシャは顔に青筋を立ててそれぞれベルフェゴールに指摘し、考え込みながら意見を口にしたレジーニアの意見を聞いたアイドスは冷や汗をかいて表情を引き攣らせていた。

 

「フフ、”契約”といえば君は既に天使達に加えて魔神や女神とまで”契約”しているという話を聞いて実際にその者達と会った時は正直驚いた。人間である君が普通に考えればありえない者達を従えた事に。」

「メサイア達はベアトリースみたいに戦闘による勝利で従えた訳じゃないけどな……それに……俺はメサイア達を”配下”とは思っていない。共に戦う”大切な仲間”だ。」

「”仲間”か……”飛天魔”である私には理解できない考えだな。”仲間”等”飛天魔”である私にとっては足を引っ張る存在だから、私一人で戦った方が効率的だからな。」

「いや……ベアトリースも無意識ではあるけど、”仲間”を大切にする心は持っている。」

自分の話を聞いて困惑の表情を浮かべているベアトリースにリィンは静かな表情で指摘した。

「私が?リィンは何故そう思ったんだ?」

「俺の一騎打ちの申し出を受け入れた事だ。ベアトリース達がその気になれば、一斉に俺達に襲い掛かって俺達の部隊に大きな被害を与えて俺達が退かざるを得ない状況に陥らせる可能性は十分にあったのに、ベアトリースは俺の双方の被害を減らす為の一騎打ちの申し出を受け入れてくれたのだから、ベアトリースは自分が率いている魔族達を大切に思っている証拠だろう?例えそれがベアトリースの言うその方が”効率的”で、”意義がある戦闘”だとしてもだ。それに俺との一騎打ち後に彼女達の処遇で俺が手荒な真似をしない事を約束した事にベアトリースは安心している様子だったし、今回の戦争後についてもベアトリースにそのままついていく事を指示せず、それぞれの判断でそれぞれの人生を生きるように伝えるという心遣いもしているじゃないか。」

「それは……………………………」

リィンの指摘に対して反論の言葉が出なかったベアトリースは迷いの表情を浮かべて黙り込み

「…………なるほど。確かに私は無意識ではあるが、彼女達の事を”仲間”として扱っていたようだ。私が気づけなかったことを気づかせてくれたこと、感謝する、リィン。」

「ハハ、別に俺は大した事はしていないさ。えっと……それよりも、ベアトリースは俺の配下になるって言ったけど、もしかしてメサイア達のように”契約”もするつもりなのか……?」

静かな笑みを浮かべて答えたベアトリースに対して苦笑したリィンは本題を思い出して気まずそうな表情を浮かべてベアトリースに訊ねた。

「ああ。既に君は他の魔族や天使達と契約しているのだから、君の配下になると決めた以上彼女達と同様の”契約”をするのが筋だし、飛天魔である私が君の配下になる”証”を示す必要もあるからな。恥ずかしながら私は性行為は未経験だが………予め配下の睡魔達から性行為の知識について教えてもらっているから、私の主となる君にばかり任せるような事はしないから安心してくれ。――――――それでは早速始めさせてもらう、リィン様。ん……」

リィンの問いかけに答えたベアトリースはリィンに口づけをした後奉仕を開始し、その後リィンは”性魔術”による”契約”でベアトリースを自身の使い魔にした――――――

 

 

 

という訳でデュバリィ、まさかの使い魔ゲットで、ベアトリースは予想通り?リィンの使い魔になりましたwなお、ベアトリースは今までの使い魔達と違い、常にリィンの身体の中に同化せず、セレーネのように一プレイアブルキャラとして共に行動します。

 

それと今回更新がいつもより遅くなった代わりにシルフェニアの18禁版にもベアトリースの話に加えて創の軌跡でお披露目となった水着アルフィンの話を更新しておきました。(ニヤリ)意図した訳じゃなかったのですが、水着アルフィンの話は今まで書いた18禁版の中で一番容量が大きくなりましたwwなお、アルフィンの話はこの物語の終盤に予定している展開のネタバレが含まれている為、ネタバレが嫌な人達は回避を推奨します。また、次回の更新ですが今回よりも更に遅くなるかもしれません。何せ次回の話で18禁展開が3連続発生しますので……(オイッ!?)なお、18禁展開はいつも通り男側は全てリィンで(怒)、相手は順番で言うと????、セレーネ、メサイアです(遠い目)


 
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