No.1030925

お父さんは、私に振り向かない!  第31話 お母さん来襲 (2)

単身赴任の父親の元に遊びに来ると言い出す娘。
遂にその時が来て、娘を迎えに行く。
だが、娘の咲子の行動が、普段と何か違う気がする・・・
そして、何故か急に妻と真央がこちらに来ることに成った。
前回の続きです。

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2020-05-27 10:21:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:9   閲覧ユーザー数:9

 お父さんは、私に振り向かない!

 第31話 お母さん来襲 (2)

 

 咲子と駅の改札口付近で待っていると、メールの着信音が鳴る。

 

「メールか? 母さんからかな?」

 

 スマホを操作して、メールの内容を確認する。

 

『こんにちは!』

『もうすぐそっちに着く予定だったけど、車内で急病人が出て、○×駅で止まっているの(>_<)』

『しばらくしたら動くと思うけど、遅れるね(^_^;)』

 

「・・・」

 

「ねぇ、やっぱりお母さんから? ・・・どうしたのお父さん? じっとスマホ見ていて」

 

「・・・何か急病人が出て、○×駅で電車止まっているんだって。それで遅れると・・・」

 

「あっ、そっかぁ・・・まあ、しょうがないよね」

 

「ああ・・・どうしようも無いもんな」

 

 急病人対応ならそれほど待たされることは無いと思って、そのまま改札口で待つことにした。

 しばらくすると、駅の構内アナウンスで先ほどのことが流れている。

 

「お父さん、暇だね・・・」

 

「そうだな。だけど、もうすぐ来るよ」

 

「・・・・・・」

 

 ・・・・・・

 

 予定時刻の約10分遅れで母さん達が乗っている電車が駅に到着した。

 

「あっ、お母さんと真央だ!」

 

 改札からゾロゾロ出てくる人混みの中から素早く母さん達を見つける咲子。母さんは片手に大きなビニール袋を持っている。

 その声に気付いたか、真央も『咲子お姉ちゃん~』と声を上げていた。

 改札を出た真央が早速、咲子の方に向かってくると言うべきか突進してきた。

 

「咲子お姉ちゃん~」

 

 真央は飛びつく様な勢いで咲子に向かっていく。

 

「うぁ! おっとっと・・・」

 

 咲子は不意を突かれたのか、真央に抱きつかれた時少しよろめく。

 俺的には咲子に飛びつくより、俺に飛びついて欲しかった気がするが、仲が良い証拠だと思うことにした。

 

「もう、真央! 急に飛びついてこないで!!」

 

「だって、寂しかっただもん。それに、咲子お姉ちゃんだけ遊びに行ってずるいんだもん!」

 

「だって、真央はクラブ活動有るんだから仕方ないって・・・大丈夫なのクラブ活動?」

 

「うん。お盆休みだって!」

 

「えっ、そうなの? 本当、お母さん?」

 

「ええ、そうよ。真央の言う通りよ。例年の地区予選も1回戦負けしてしまったし、今年は暑すぎるから、しばらくお盆休みにしたらしいの」

 

「へぇ~~」

 

 少々驚いている咲子。真央は少々小柄の子だが、屋外の地域クラブ活動に入っている。其所のクラブ活動は試合に勝つことが目的で無く、あくまでクラブ活動を楽しむことが目的らしい。おかげで試合は毎回初戦敗退らしいが・・・。まあ、たしかに今年は例年より暑いし、熱中症等に掛かったら色々問題が起こるから有る意味賢明な判断だろうと感じた。

 

 咲子と真央は何か2人で話をしているようだ。俺はそれを眺めつつ母さんの方に向きを変え話しかける。

「まあ、災難だったね」

 

「えっ? ああ、さっきの事ね。まあ、仕方ないよ!」

 母さんは特に気にしてないようだ。

 

「母さん達の方はどう? 何も変わってない?」

 

「ええ、何時もと同じだよ。お父さんの方は咲子が居るから色々大変でしょう!」

「それに、色々気に掛けているんでしょ!」

 

「まあ、メールの通りだよ。数日は戸惑ったが今はもう慣れたよ」

 

「あらま、それは良かったね。少し心配したけど、私はお邪魔無視だったかな♪」

 母さんは悪戯っぽく言いながら話す。

 

(ああ、やっぱり、母さんを見ていると〇〇代後半とは思えないな。俺の中ではまだまだ十分に行けるよ!!)

 

 母さんと世間話とお互いの近況を話し合う。そうすると何かを察知したのか、咲子がグィっと俺の服を急に引っ張ってきた。

 

「ねぇ、こんな暑い所で話し込まないで、どうせ話すなら家に戻ろうよ!」

「あっ、後、真央が喉渇いたって!」

 

「お母さん、ジュース買って! 喉渇いた!!」

 真央は母さんに催促をする。

 

「ああ、それもそうだな。それと真央が喉渇いたか。まあ、今日も暑いしな」

「帰りにコンビニ寄るか・・・でも家は狭いからな」

 

「ねぇ、お父さん。久しぶりにみんなでファミレスでも行こうか♪」

 母さんがファミレスを提案してくる。

 

「えっ、でも、ファミレスに入ったら・・・大丈夫か?」

 この“大丈夫か”はお金のことで有る。咲子の倹約家の親分、母さんだからな。

 

「たまには良いでしょう! お父さんも頑張ってくれてるし、お盆だし!!」

「それにさっきも電車内で真央と一緒に冷たい物食べたいね! と話していたし」

 

「お母さん! ファミレス行くの!?」

「やった~、真央ファミレスだって!」

 

「わ~い!」

 

 ファミレスと聞いて、はしゃいでいる咲子と真央。人目の着く改札口付近なのに・・・

 

「お父さん! 決まりだね!!」

 母さんはニッコリ微笑む。

 

 ・・・・・・

 

 家に帰る前にファミレスに涼みに行くことになった。母さんが手に持っていた大きな袋が気になったので聞いてみたらタオルケットらしい。布団が2組有るのは知っているけど、万が一に備えて持ってきたらしい。

 生もの系統の食品は持ってきていないらしいので、駅からそのまま近くのファミレスに向かうことになった。

 こうして、新たに母さんと真央が加わった、少しばかりの本来の家族生活に近い生活が始まりだした。

 

 第31話 おわり

 第32話につづく


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