No.1030407

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第82話

2020-05-21 20:42:34 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:889   閲覧ユーザー数:590

 

 

 

2月3日、同日AM9:10――――――

 

翌朝、アリサ達は里に到着したカレイジャスでオリヴァルト皇子達が連れてきた”協力者達”との顔合わせをしていた。

 

~カレイジャス・ブリーフィングルーム~

 

「貴方達がこれからオレ達に協力してくれる新たな”協力者”達……」

「つーか、ほとんど女ばっかの上ガキまでいるじゃねぇか。」

ガイウスは初めて対面した新たな協力者達――――――銀髪の女性、剣士の女性、赤毛の青年、作業着の少女を見ると呆けた声を出し、アッシュは呆れた表情で呟いた。

「フッ、ティータ君はこう見えても君達よりも実戦を経験している上、彼女こそが今の君達にとって待望の”優秀な技術者”でもあるのだよ?」

「ええっ!?という事は昨日殿下の話にあった”優秀な女性技術者”はそちらの女の子の事だったんですか!?」

静かな笑みを浮かべて答えたオリヴァルト皇子の説明を聞いたアリサ達がそれぞれ驚いている中エリオットは信じられない表情で少女を見つめ

「はわわわ……っ!?”優秀な技術者”だなんてオリビエさん、わたしの事を持ち上げすぎですよ……!わたしはようやく、”見習い”を卒業したばかりですよ……!?えとえと……わたしの名前はティータ・ラッセルって言います。これからよろしくお願いします!」

「ええっ!?ラ、”ラッセル”って事はもしかして貴女、シュミット博士と同じ”三高弟”の一人のアルバート・ラッセル博士の縁者なの……!?」

少女――――――ティータはオリヴァルト皇子とエリオットの言葉に慌てた後自己紹介をし、ティータの名前を聞いてある事に気づいたアリサは驚きの表情で訊ねた。

 

「ああ。彼女はラッセル博士の孫娘で、幼い頃からラッセル博士から技術者として指導してもらっていたお陰で、この若さで既に技術者としての腕前は”優秀”と言っても過言ではないだろう。」

「はうう~……ミュラーさんまで……えっと……それよりもお姉さんってもしかして、グエンさんのお孫さんですか?」

静かな笑みを浮かべて答えたミュラー少佐の説明を聞いたティータは恥ずかしそうな表情を浮かべた後気を取り直してアリサに訊ねた。

「え、ええ……でも、どうしてお爺様の事を……」

ティータが祖父を知っている事に驚いたアリサは戸惑いの表情で訊ねた。

「えへへ……お爺ちゃんとグエンさんは昔から仲が良くて、年に一度グエンさんが大陸各地を回る時にもリベールにも来てくれて、その度にいつもわたし達の言えも訊ねてくれたんです。」

「そ、そうだったんだ………それじゃあ同じ孫同士、私達も仲良くしましょうか?」

ティータの説明を聞くと目を丸くし、そしてティータに微笑み

「はいっ……!あ、それとお母さんもアリサさんのお母さんのイリーナさんとも昔からの知り合いだって言っていましたよ。」

アリサに微笑まれたティータも笑顔を浮かべて頷いた後ある事を思い出して答えた。

 

「か、母様まで貴方のお母さん―――エリカ博士と知り合いだったの!?」

「はい。ただお母さんは今回の戦争の件で帝国政府に協力するイリーナさんにも怒っているようでして……『今度会ったら一発スパナで思いっきりぶん殴ってやる』って言っていましたけど……」

驚いているアリサの疑問に答えたティータは疲れた表情で自身の母の言葉をアリサに伝え、それを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「あ、あはは………私も今回の母様の行動には思う所があるから、その件でティータちゃんが気にする必要はないわよ。というかむしろその方が母様にとっていい薬になるような気がしてきたわ。」

アリサは苦笑しながらティータに罪悪感を抱く必要はないような事を伝えた後ジト目になってイリーナ会長を思い浮かべた。

 

「………天使だ……」

「へ………」

するとその時アンゼリカは呆けた表情でティータを見つめながら呟き、それを聞いたトワは呆けた声を出した。

「愛らしさと幼気(いたいけ)さを残しつつ少女として未だ成長しつつあるしなやかで瑞々しい身体つき……!ミルクのような匂いのハニーブロンドとギャップ萌えでしかない技術者!まさか君のような天使に出会えるとはっ。リベールから来たんだったよね!?ようこそ、エレボニアに!!」

そしてアンゼリカはティータに近づいて興奮した様子で声を上げ

「ふえええっ!?」

「コラコラ、止めなさい。」

「初対面の連中に早速”それ”を見せるとか、相手も引いてるぞ。」

「もう、アンちゃん!ティータちゃんが怯えてるでしょ!」

アンゼリカの様子にティータが怯えている中サラとクロウはジト目で、トワは真剣な表情でアンゼリカを注意した。

「……そこのスチャラカ皇子といい、エレボニアには”癖”が強すぎる奴しかいないのかよ?」

「いや、さすがにそれはアンタの考え過ぎよ……多分、あの二人が”例外”なんだと思うわよ。」

「うーん、ティータちゃんのチャームポイントにすぐに気づくとは、中々”わかっている”ね~。」

「な、何だかアンゼリカ先輩のせいで早速協力者の人達にエレボニア人に対する間違った印象を植え付けているような気が……」

「ったく、相変わらず突き抜けたパイセンだぜ。」

一方赤毛の青年は呆れた表情でアンゼリカを見つめて呟き、青年の言葉に銀髪の女性は疲れた表情で答え、剣士の女性は口元に笑みを浮かべてアンゼリカを見つめ、マキアスはジト目で呟き、アッシュは呆れた表情で呟いた。

 

「フッ、私としたことがつい我を忘れてしまったようだよ。――――――私はアンゼリカ・ログナー。カレイジャスの主任操縦士も担当している。これからよろしく頼むよ。」

「そ、そうだったんですか……レンちゃんからもお名前を聞いた事があったような。」

「え……”レン”ってもしかしてメンフィル帝国のお姫様の一人のレン皇女殿下の事?」

アンゼリカの自己紹介を聞いて答えたティータの答えに仲間達がそれぞれ驚いている中エリオットは目を丸くして訊ねた。

「あ、はい。レンちゃんはわたしにとって一番の親友で、時折連絡を取り合っているんです。今回の戦争の時もレンちゃんも忙しいのに、その合間にわたしに連絡をする暇をみつけてレンちゃんの今の状況についてとかも連絡してくれて……だから、アンゼリカさんを含めた”Ⅶ組”の皆さんの事もある程度レンちゃんから聞いています。」

「”殲滅天使”が”親友”って……よく今もあんな性格最悪な皇女と”親友として”付き合っていられるよね?」

「全くよね。見た感じの印象からしても真逆の存在に見えるわよ、アンタと”殲滅天使”は。」

「もう……二人とも、レン皇女殿下に対して失礼よ……」

ティータがレンと親友の関係であることを知ったフィーはジト目で、セリーヌは呆れた表情で呟き、二人の言葉を聞いたエマは疲れた表情で注意した。

 

「えとえと……確かにレンちゃんは人を殺す事を楽しんでいますし、敵に対してはわたし達も”可哀そう”って思うくらい酷い事を平気にしますけど……それでも本当は優しい人なんですよ。わたしみたいな親しい人に対してはとても優しくしてくれますし、リフィアさん達みたいに民間人の人達を守る事は当然だと思っている人でもあるんですよ。」

「異世界の大国の跡継ぎの皇女すらも”さん”づけで呼ぶとは、さすがはあの皇女が”親友”と認めた者であるという事か……」

「フッ、是非ともレン皇女殿下とセットで揃った所を見てみたいものだね。……ちなみにそのレン皇女殿下からは私の事でどんな話を聞いたのだい?やはり頼りがいのある、身も心も捧げていいような素敵な麗人という話かなっ!?」

レンを庇っている際にティータがメンフィルの次期女帝であるリフィアの事を”さん”付で呼んだ事にアリサ達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中、ローゼリアは苦笑し、アンゼリカは興味ありげな表情で訊ねた。

「……えっと……エレボニアに行ったらわたしの”貞操”を守る為にもアンゼリカという男装のお姉さんはオリビエさんとは別の意味でくれぐれも気をつけた方がいいって……」

「レン皇女殿下あああああっ!!!」

しかし困った表情で答えたティータの答えを聞くとアンゼリカは思わす叫び、それを見たその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。

 

「ま、妥当な評価じゃねぇか?」

「ああ、こればかりはどうにも……」

「うーん、アンちゃんも”半分くらい”は冗談だと思うんだけど……」

「そうかぁ?俺は”9割くらい”は”本気”に見えたぞ?」

我に返ったクロウとラウラ、トワは苦笑しながら呟き、アッシュはジト目でアンゼリカを見つめ

「というか何気に私まで含めるなんて酷いじゃないか、レン君……」

「その点に関しても妥当な評価だろうが。」

疲れた表情で肩を落としたオリヴァルト皇子にミュラー少佐は静かな表情で指摘した。

 

「……それでそちらの3人は3人とも”支える籠手”の紋章のバッジを付けている所から察するに、3人とも遊撃士なのか?」

「ええ。あたしはシェラザード・ハーヴェイ。ランクは”A級”よ。よろしくね。」

「私はアネラス・エルフィード。ランクは”B級”だよ。これからよろしくね♪」

「……俺はアガット・クロスナー。ランクは”A”だ。」

「サラ教官と同じ”A級”が二人も協力してくれる上トヴァルさんと同じB級正遊撃士も協力してくれるなんて、とても心強いです……」

ユーシスに促されてそれぞれ自己紹介をした銀髪の女性――――――シェラザード、剣士の女性――――――アネラス、赤毛の青年――――――アガットの自己紹介を聞いたエマは明るい表情を浮かべた。

 

「えっと……シェラザードさん達とサラ教官はやはりお知り合いですか?」

「ええ。あんた達の加勢は正直今のあたし達にとってかなりありがたいけど……今の状況で故郷(リベール)から離れて大丈夫だったのかしら?」

アリサの疑問に頷いたサラは複雑そうな表情でシェラザード達に訊ねた。

「まあ、正直かなり迷ったけど………エステル達だったら3年前の”リベールの異変”や”クーデター”の解決に協力した恩を返す為にもオリビエを助けていたでしょうから、あたし達はあの子達の代わりにオリビエ達に協力する事にしたのよ。とはいってもアネラスとアガットは別の目的もあるようだけどね。」

「……その”別の目的”とは一体何なのだろうか?」

シェラザードの話を聞いて気になる事が出てきたガイウスはアネラスとアガットに訊ねた。

 

「私はおじいちゃんの意向も関係しているんだ。――――――この戦争で大きく成長する事でカシウスさんの領域に近づきかけているリィン君と関わる事で、私もリィン君に刺激されて成長してみろって、最近来たおじいちゃんからの手紙の内容にあったから、オリヴァルト皇子に貴方達の協力を頼まれた時にちょうどいい機会だと思って、受けたんだ。」

「リ、リィンがリベールの英雄――――――カシウス中将の”領域”に近づきかけているって……」

「……アネラス殿。もしやアネラス殿の祖父は”八葉一刀流”に関わる方なのですか?」

アネラスの話を聞いたエリオットが信じられない表情をしている中、ある事に気づいたラウラは真剣な表情でアネラスに訊ねた。

「フフ、関わるも何もアネラスの祖父は”八葉一刀流”の”開祖”――――――”剣仙”ユン・カーファイよ。」

「ふええっ!?アネラスさんのおじいさんがリィン君の剣術の……!?」

「”剣仙”ユン・カーファイ………子爵閣下とも互角の斬り合いを繰り広げたという”八葉一刀流”の”開祖”か。」

「そしてリィンに”八葉一刀流”を教えた”師”でもあったな……」

ラウラの疑問に苦笑しながら答えたサラの説明を聞いたアリサ達が驚いている中トワは驚きの声を上げ、ユーシスとガイウスは真剣な表情で呟いた。

 

「アネラス殿の祖父がかの”剣仙”……という事はアネラス殿も”八葉一刀流”の剣士なのですか?」

「うん。まだまだ修行中の身だけど”奥伝”を授かっているよ。それとお祖父(じい)ちゃんに直接”八葉一刀流”を教わっているから、一応リィン君は私にとって”弟弟子”になるよ。」

「リィンの今の伝位の”中伝”の上の”奥伝”だから、もしリィン達とやり合うことになってもアネラスがリィンへの対策になるから、ラッキーだね。」

「まあ、そもそもあいつらとやり合う事態に陥らないのが一番なんだがな……」

興味ありげな表情を浮かべたラウラの疑問に答えたアネラスの説明を聞いたフィーは静かな笑みを浮かべ、フィーの言葉にクロウは苦笑していた。

 

「う、うーん……期待している所悪いけど、確かに今の私の伝位は”中伝”のリィン君よりは上だけど、おじいちゃんからの手紙によるとクロスベル迎撃戦での活躍を知った時点でリィン君に”奥伝”を授ける事を決めているようだし、この戦争での活躍次第によってはこの戦争を乗り越えた際に”皆伝”を認める事も考えているらしいから、それらの件を考えると私一人でリィン君を抑えられるとは思えないんだよね~。」

「なっ!?”皆伝”も認める事を検討しているって事は……!」

「今回の戦争の件でリィンにも”剣聖”の称号が付けられる事になるかもしれないって事ね……」

「…………………」

疲れた表情で答えたアネラスの話を聞いた仲間達がそれぞれ血相を変えている中マキアスは驚きの声を上げ、セリーヌは目を細めて呟き、エマは自分が”導いた”起動者(ライザー)であるリィンの急成長に対しての自分の未熟な力量に辛そうな表情を浮かべて黙り込んでいた。

 

「それで?アガットの別の目的は………もしかしてティータ絡みかしら?」

「そうだが……何で、すぐに気づいたんだ?」

サラの問いかけに肯定したアガットは不思議そうな表情で訊ね返した。

「エステル達がエレボニアに来てあたしを訊ねた時にあんたとティータの”仲の良さ”についても”色々と”聞いているわよ~?」

「あ、あいつら………!」

「はうう~……一体何を言ったんだろう、おねえちゃんたち……」

「ほほう?サラ教官、その件について、是非とも後で私にコッソリと教えてください!」

「ア、アンちゃん……」

からかいの表情を浮かべたサラの話を聞くとアガットは顔に青筋を立てて身体を震わせ、ティータは頬を赤らめて恥ずかしそうな表情を浮かべ、興味ありげな表情を浮かべたアンゼリカの更に対する頼みを聞いたトワは冷や汗をかいた。

 

「フッ、何せアガット君はラッセル博士もそうだがあのエリカ博士がティータ君の事を任せる程、”ラッセル家”の信頼が篤いのさ♪」

「ティータの協力の許可を取る際にそのエリカ達にも会ってエリカ達を説得するのに散々苦労した癖によくそんなことが言えるな………ラッセルの爺さんやダンはともかく、エリカは俺の事をティータの”弾除け”程度にしか思っていないだろうぜ。」

「た、”弾除け”って………えっと……エリカ博士って、ラッセル博士のご息女ですよね?………その……エリカ博士を含めてティータちゃんのご両親はティータちゃんが私達に協力する件に反対していたんですか?」

静かな笑みを浮かべて答えたオリヴァルト皇子の話に呆れた表情で指摘したアガットの言葉を聞いたその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アリサはジト目で呟いた後、不安そうな表情で訊ねた。

「……ああ。エリカ博士は一人娘のティータ君の事を溺愛していてな。そんな彼女が娘を今のエレボニアに向かわせて俺達と共に活動する事に夫であるダン殿と共に猛反対していて、説得するのに3日も費やす事になった。」

「しかも今の私達が非常に弱い立場かつ勢力である事にも気づいていて、足元も見られてね……ティータ君を借りる”対価”として、相当吹っ掛けられてそれを飲む羽目になったんだよ。」

アリサの疑問にミュラーは静かな口調で、オリヴァルト皇子は疲れた表情で答えた。

 

「”相当吹っ掛けられた”って……一体何を”対価”として支払う事になったんですか?」

「”ティータ君の今の年齢の数――――――14年分のラッセル家の研究費全額をアルノール家並びに帝国政府が負担する事”さ。しかもティータ君の協力する期間が1ヵ月を越えたら1日につき研究費の1年分増やすという”利子”付きで、万が一ティータ君の身に何かあれば私が自殺するように強要した上、例え自殺しなくても地の果てに追いかけてでも私を殺すと脅されたよ。」

「ええっ!?ラ、ラッセル家の研究費全額―――それも14年分をアルノール家と政府が負担するって、戦後のエレボニアの財政状態もそうですけど、下手したら復興にも影響するんじゃ………」

「しかも”利子”は1日延びるごとに1年分延長させるとかボリ過ぎだろ……」

「挙句の果てには殿下に殿下自身の命を断つ事を強要するとは一体何様のつもりなのだ、その女は……」

「あうう~……ご、ごめんなさい……わたしも幾ら何でもそこまでするのは酷いからもっと穏便な内容にして欲しいって頼んだのですけど、お母さんもそれらに関しては絶対に譲ってくれなくて……」

マキアスの疑問に対して疲れた表情で答えたオリヴァルト皇子の説明を聞いたアリサは驚き、アッシュは呆れ、ユーシスは厳しい表情を浮かべ、それを見たティータは申し訳なさそうな表情で謝罪して答えた。

 

「それらの件でティータ君は謝罪する必要はないよ。実際私達は今のエレボニアだと最も弱小な勢力の上、そのエレボニアはリベールにも侵略しようとしている。そんな状況で大切な娘を連合の侵略を受けている事で国内の状況が相当不安的な事になっている上リベールにとっても”敵国”にもなるエレボニアに送って、弱小勢力である私達と行動を共にさせるのだから、エリカ博士のティータ君に対する心配とその対価は当然のものだよ。もし、ティータ君の協力する勢力がメンフィル・クロスベル連合なら話は違った上対価ももっと穏便な内容だったと思うだろうしね……」

「殿下……」

静かな表情で語ったオリヴァルト皇子の話を聞いたラウラは辛そうな表情でオリヴァルト皇子を見つめ

「それにティータ君もそうだが、シェラ君達にも本当に申し訳ないと今でも思っているよ。状況によっては最悪、リウイ陛下達ともやり合うことになるのだからね。」

「フフ、らしくない事を言っているんじゃないわよ。そもそも、メンフィルの総大将や上層部クラスの上最前線で戦うことが多いリウイ陛下達もそうだけどメンフィル軍の衛生部隊か後方の魔術師の部隊を担当している可能性が考えられる師匠とやり合うなんて事態は、確率で言えば相当低いわよ。」

「”師匠”って事はメンフィルの関係者にシェラザードの”師匠”とやらがいるの?」

「そういえば……確かシェラザードの魔術の師匠は”闇の聖女”だったわね……」

オリヴァルト皇子の言葉を聞いて苦笑しながら答えたシェラザードのある言葉が気になったフィーが首を傾げている中、ある事実を思い出したサラは複雑そうな表情で呟いた。

 

「な――――――という事はヌシはあの神官長の弟子でもあるのか……!?」

「それじゃあシェラザードさんは魔術を扱えるのですか……!?」

「ああ。シェラ君はペテレーネさんに魔術を指導してもらったお陰で雷や竜巻の魔術を扱えてね。その事からシェラ君は”嵐の銀閃”という二つ名で呼ばれているんだ。」

サラの話でペテレーネが出てきた事にローゼリアと共に驚いたエマの確認の言葉にオリヴァルト皇子が答えた。

「”嵐の銀閃”……”嵐の剣神”と呼ばれているセリカさんの異名に似ているな……」

「しかも扱う魔術もセリカさんと同じようだからねぇ。それを考えるとシェラザードさんは魔術師として非常に優秀な人なんだろうね。」

「あのね………セリカさんみたいな”規格外の中の規格外”と一緒にしないでくれる?確かに扱う魔術の属性はセリカさんとは被っているけど、威力も魔術のレベルも全てセリカさんが桁違いに上よ。というかただの人間のあたしがセリカさんと互角とか普通に考えてありえないわよ。」

オリヴァルト皇子の話を聞いたガイウスは考え込み、アンゼリカの言葉を聞いたシェラザードは疲れた表情で反論した。

 

「え………セリカさんを知っているという事はもしかして、シェラザードさん達ってオリヴァルト殿下の話にあった殿下のリベールの旅行時代で出会った……」

「ああ。以前にも少し話をしたがシェラ君達が”リベールの異変”を解決し、そして”影の国”でも私達と共に協力し合った人達さ。」

「まあ、私は先輩達と違ってリベル=アークの突入班じゃなかったですけどね……」

シェラザードの口からセリカの名前が出たことに驚いたアリサの確認の言葉にオリヴァルト皇子が答え、アネラスは苦笑しながら答えた。

「そ、そういえばクロチルダさんの話だと”リベールの異変”の際にリベールに現れた浮遊都市に乗り込んだリベール側のメンバーの最年少の人は”ティータ・ラッセル”という名前だったから……まさか君がそうなのか!?」

「あはは……そうなります。」

ある事を思い出して驚きの表情を浮かべたマキアスの確認にティータは苦笑しながら肯定した。

 

「フッ、導力技術に優れ、更には戦う事までできる上そして何よりも天使のような可憐さ!ジョルジュとは雲泥の差だね、うんうん。」

「ア、アンちゃん……」

「最後のはお前の欲望じゃねぇか……」

満足げな笑みを浮かべて口にしたアンゼリカの言葉にその場にいる全員が冷や汗をかいて脱力している中トワとクロウは呆れた表情を浮かべた。

「………おい。先に釘を刺しておくがティータは”技術者としてお前達に協力するだけ”で、お前達の今後の活動――――――例えば今から行う”黒の工房”の本拠地の襲撃のような修羅場や、エレボニアや結社の連中もそうだが、連合側ともやり合うような状況にティータを戦力として数える事を絶対にしない事をエリカ達がオリビエに約束させたから、絶対にティータをお前達の戦力扱いするんじゃねぇぞ。」

「アガットさん……」

「え……そ、そうなんですか?」

アガットの忠告を聞いたティータが複雑そうな表情をしている中、エリオットは驚きの表情でオリヴァルト皇子達に確認した。

 

「ああ。遊撃士協会を通して紅き翼に出されている通常の依頼にティータ君も協力する事は承諾してもらっているが、今回の戦争関連での”現場”――――――要するに”戦場”にまで連れて行くことは厳禁である事を彼女の両親のエリカ博士達がティータ君を我々に協力させる”条件”の一つとして要求し、その要求を呑んでいる。」

「それと万が一紅き翼が敵勢力からの襲撃によって窮地に陥れば、ティータ君を守り、逃がす事を最優先とすることもエリカ博士達が要求したティータ君を紅き翼の”協力者”として認める”条件”の一つだ。そういう訳だから、万が一帝国正規軍もそうだが結社や黒の工房、メンフィルの・クロスベル連合の勢力がこの艦を襲撃した際は私でははなく、ティータ君の身を考える事を最優先にしてくれ。」

「それは………」

「……まあ、”リベールの異変”やクーデター、”影の国”の戦闘メンバーだったとはいえ、彼女は”民間人かつ未成年者”ですから、国内の状況が最悪になっているエレボニアに関わらせる事を心配する親としては当然の要求でしょうね……」

ミュラーとオリヴァルト皇子の話を聞き、自国の皇子であるオリヴァルト皇子よりも他国の平民であるティータの身を最優先にしなければならない事にラウラが複雑そうな表情をしている中、サラは静かな表情で呟いた。

「という事は今日の襲撃にもティータはわたし達に加勢してはダメって事?」

「当り前だ。今日の襲撃作戦もそうだが、今回の戦争関連での”現場”のティータの役割はこの艦で後方支援(バックアップ)に徹する事がエリカ達にとっての”最大限の譲歩”だ。」

「ジョルジュの代わりを務めてくれるだけでも十分ありがたいんだから、それで良しとしようじゃないか。」

「うん。えっと……ちなみにシェラザードさん達は今回の戦争が関わる現場でも戦力として加勢して頂けるのでしょうか……?」

フィーの確認にアガットが答えた後静かな表情で呟いたアンゼリカの言葉に頷いたトワはシェラザード達に訊ねた。

 

「ええ、あたし達は貴女達の戦力として数えてもらって大丈夫よ。」

「その……遊撃士協会からの処罰等は大丈夫でしょうか?トヴァルさんの件を考えると、エレボニアに所属している私達に協力した事で後でシェラザードさん達まで処罰を受ける可能性も考えられますし……」

「あはは、心配してくれてありがとう。でも、その点は大丈夫だよ。遊撃士協会は戦争では基本”中立の勢力”だから、エレボニアに所属していると言っても和解の為に動いている君達に私達が協力しても遊撃士協会の規約には違反していないよ。」

「そもそもトヴァルがへマして降格と左遷処分を受ける羽目になった一番の原因は規約を違反してユミル――――――メンフィルの権力に干渉した事で今回の戦争勃発の間接的な原因になった事だからな。規約に違反した訳でもないんだから、あのクソガキと共謀したも同然の本部の連中に俺達の事で文句は言わせねぇよ。」

トワの疑問にシェラザードが答えるとエマが不安そうな表情で訊ね、エマの疑問にアネラスは苦笑しながら、アガットは呆れた表情で答えた。

「レンの事を”クソガキ”だなんて、相変わらずレディーに対して失礼な男ね~。」

するとその時レンが部屋に入ってきた。

 

「あ………」

「レ、レン皇女殿下……」

「相変わらず食えねぇチビ猫だぜ……一体何の用で、堂々とテメェにとっては味方の勢力ではないこの船に一人で乗り込んでここに来たんだよ?」

レンの登場にティータが呆け、アリサが驚いている中アッシュは呆れた表情でレンを見つめ

「うふふ、オリビエお兄さんが各国を回って”紅き翼”の協力者達を集める話を聞いた時から、”懐かしい顔ぶれ”を集める事は目に見えていたし、その中でも特に”紅き翼”にとって必須だった”優秀な技術者”を確保するために絶対にティータに協力を頼むと思っていたわ。――――――ついでにティータとセットでアガットもついてくる事もね♪」

「ええっ!?それじゃあレン皇女殿下はオリヴァルト殿下達が僕達と別行動することを知った時点で殿下達がティータちゃん達を集める事を想定していたんですか!?」

「ハハ………やっぱりレン君には”読まれて”いたか。」

「おいコラ……何で俺をティータとのセット扱いしやがるんだ!?」

レンの説明を聞いたその場にいる多くの者達が血相を変えている中エリオットは驚きの声を上げ、オリヴァルト皇子は苦笑し、アガットはレンを睨んだ。

 

「そりゃ今までのアンタ達の事を知っていたらレンじゃなくても、あたし達もあんたとティータをセット扱いしてもおかしくないわよ。」

「うんうん、何せ二人の絶妙な距離感が微笑ましさを見ていたら、普通はそう思いますよね!」

「はっはっはっ、”影の国”の再会した二人は微笑ましく、甘かったねぇ♪」

「……貴様は調子に乗り過ぎだ。」

「あ、あう……」

「て、てめぇら……」

一方アガットの言葉を聞いたシェラザードとアネラス、オリヴァルト皇子はアガットをからかい、ミュラーは顔に青筋を立ててオリヴァルト皇子に注意し、話の的にされたティータは恥ずかしそうな表情で溜息を吐き、アガットは仲間達を睨み

「むむ……っ!やはり、アガットさんが最大の好敵手(ライバル)か……!」

「アンちゃんは一体何に対してアガットさんに対抗心を燃やしているの……」

「どうせそいつの事だから、間違いなくロクでもない事だろうぜ。」

更にアンゼリカはアガットに対抗心を燃やし、その様子にアリサ達が冷や汗をかいて脱力している中トワとクロウは呆れた表情で呟いた。

 

「クスクス……話を戻すけど、レンがわざわざここに来たのはアガットに”これ”を渡す為よ。」

そしてレンは小悪魔な笑みを浮かべた後アガットに向けて何かを投げ、アガットはレンによって投げられた何かを片手で掴んだ。

「コイツは確かメンフィル(おまえら)の……」

レンによって投げられて掴んだ何かを片手を開いて何かが自分にとって見覚えのある”耳飾り”であることを確認したアガットは目を丸くし

「フム……霊力(マナ)を感じる所から察するに、その耳飾りは魔導具の類か?」

「ええ。”帰還の耳飾り”と言って、1回限りだけど使用者とその周りにいる人を一人だけ耳飾りに登録されている場所に”転位”で帰還させるメンフィルが開発した撤退用の魔導具よ。」

「メンフィル帝国はそのような魔導具を……」

「1回限りで転位する場所が限定されているとはいえ、転位魔術を組み込んだ魔導具まで開発しているとか、一体アンタの国の魔法技術はどれ程進んでいるのよ……」

アガットの手の中にある耳飾りを見て耳飾りが魔導具である事を悟ったローゼリアの確認の言葉に答えたレンの説明を聞いたエマは驚き、セリーヌは疲れた表情で呟いた。

 

「……何でコイツを俺に渡したんだ?」

「ティータの事だから、もしこの艦が敵の襲撃で落ちそうになっても最後まで諦めずにオリビエお兄さん達と一緒に戦うでしょうけど、アガットなら”脱出のタイミングを見計らってティータの首根っこを捕まえてでもオリビエお兄さん達を置いて脱出する事を最優先する事”はできるでしょうし、恐らくだけどティータの性格を一番熟知しているティータの両親からも今言ったような事と似たような事も頼まれているのじゃないかしら?」

「レンちゃん………」

「仮定とはいえ、カレイジャスが”落ちる”なんて縁起でもない事を言わないでくださいよ……」

「まあ、かつてリベル=アークに乗り込んだ時も”アルセイユ”はレーヴェ君によって落とされた事があるし、”本来の歴史”でも”カレイジャス”は爆破されて空の藻屑になったそうだから、この世界のアルセイユの姉妹艇であり、レヴォリューションと違って武装も乏しいカレイジャスが敵によって落とされない事は強く否定できないねぇ。」

「……洒落になっていないぞ。」

アガットの疑問に答えたレンの説明を聞いたティータが複雑そうな表情をしている中、レンの推測に仲間達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中マキアスは疲れた表情で呟き、オリヴァルト皇子は苦笑しながら呟き、ミュラーは複雑そうな表情でオリヴァルト皇子に指摘した。

 

「……確かにお前の言った通り、こいつらが本気でヤバくなったらティータの首根っこ捕まえてでもティータを逃がす事をエリカ達から強く言い含められているから、遠慮なくもらっておくが………お前にしては随分と親切だな?」

「失礼ね~。レンにとってもティータは”大切な親友”なんだから、そのくらいは”純粋な親切心”でするわよ。――――――ちなみにその耳飾りに登録されている転位場所は”セントアーク市”よ。――――――じゃ、用事は終わったから帰るわね。」

自分の行動を怪しがっているアガットの言葉に呆れた表情で答えたレンは説明をした後、背を向けてその場から立ち去ろうとしたが

「あ……待って、レンちゃん!」

「?」

ティータがレンを呼び止めてレンに駆け寄った。

 

「えっと……おねえちゃん達やツーヤちゃんからクロスベルやレンちゃんの”両親”の件がティオちゃん達のお陰で解決できたことを聞いたよ。」

「!………フウ……エステル達ったら、おしゃべりねぇ………ま、エステル達の事だから、ティータには当然教えるとは思っていたけど、まさかツーヤもティータに教えていたとはね……ツーヤの場合、”西ゼムリア通商会議”の件かしら?」

ティータの言葉を聞いて目を見開いたレンは少しの間黙り込んだ後呆れた表情で溜息を吐き、そして気を取り直してティータに訊ねた。

「うん。……”影の国”の別れの時にわたしがレンちゃんに言ったわたしの”願い”が叶っていて、本当によかったよ……」

「……ふ、ふん。レンの事が叶ったからと言って、ティータ自身の”願い”を疎かにするんじゃないわよ?それと幾らオリビエお兄さん達よりは危険が少ないとはいえ、油断なんてするんじゃないわよ。今回の”敵”は今まで出会ったティータ達の”敵”よりも遥かに卑劣で、凶悪な人達ばかりなんだからね。」

優しい微笑みを浮かべるティータの言葉を聞いて気まずそうな表情を浮かべたがすぐに真剣な表情になってティータに忠告し

「うん!それとわたしの事、気遣ってくれて本当にありがとう。やっぱりレンちゃんは優しいね……」

「うふふ、だってレンは”天使”とも呼ばれているもの♪」

自分の言葉に力強く頷いた後微笑んだティータの言葉にいつもの調子で答えるレンの言葉を聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「それと今回の戦争が終わったら、”お茶会”をするのもいいかもしれないわね♪」

「ちょっと……念の為に確認しておくけど、その”お茶会”とやらは”本物のお茶会”なんでしょうね?3年前みたいな事は冗談抜きで勘弁してよ……」

「そのクソガキなら、3年前と同じ事――――――いや、3年前以上の”お茶会”を仕出かしてもおかしくないから、冗談になっていねぇからな。」

「アハハ、レンちゃんと”お茶会”と言ったら、3年前の”アレ”を思い出させられますものねぇ。」

「まあ、どちらの”お茶会”にしてもレン君の事だから、”二番煎じ”のような事はしないと思うから、期待していいと思うよ、はっはっはっ。」

「……貴様は少しは口を慎め。」

レンが提案したある言葉――――――”お茶会”を聞いた瞬間一部の者達――――――3年前のリベールで起こった”お茶会事件”を知る当時者達であるオリヴァルト皇子達はそれぞれ表情を引き攣らせた後シェラザードとアガットは呆れた表情で、アネラスは苦笑し、呑気に笑っているオリヴァルト皇子にミュラーは呆れた表情で指摘し

(い、一体3年前に何があったんだろう……?)

(フム……本来”お茶会”とは、茶を飲みながら会話を楽しむ会だが……)

(あの様子だと、”殲滅天使”は”本来の目的”とはかけ離れたとんでもないことを仕出かしていたんだろうね。)

一方その様子を見ていたエリオットは戸惑い、ラウラが考え込んでいる中、フィーはジト目でレンを見つめた。

 

「クスクス、そこまで期待されると本当にみんなが期待するようなお茶会”も”開きたくなるわね♪」

「あはは………えっと……この後行われる作戦、頑張ってね!」

「うふふ、レン達がいるんだから、ティータは大船に乗ったつもりで吉報を待っていなさい――――――それじゃ、また後で。」

小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの言葉に苦笑したティータはレンに応援の言葉を送り、ティータの応援の言葉に対してレンは微笑んだ後その場から立ち去った。

 

その後、ブリッジにいるトマス達と襲撃作戦の件に関する打ち合わせや襲撃作戦に備えての準備を整えていると、ついに襲撃作戦を行う時が来た――――――

 

 

 

 

という訳で予想できていたと思いますがティータを始めとした一部の空陣営がⅦ組陣営に加勢します!……まあ、空陣営と言っても光と闇の軌跡シリーズで最強キャラの一人と化したエステルや時を操るというチートじみたことができいるミントが仲間になった訳でもないのですから、幻燐、魔導、零・碧、戦女神、グラセスタ陣営、そしてラストダンジョン時に加勢予定のエステル陣営、エイドス陣営が味方にいるリィン達と比べるとだからどうした?と突っ込みたい程僅かな戦力強化でしょうが(汗)というか、エステル陣営の中で唯一ヨシュアだけが飛燕剣を少しだけ使えるという地味さが今更ながら哀しすぎる気がww(いやまあ、そもそもヨシュア自身ヨシュアをプレイアブルキャラとして使えるFCから3rd、零、閃4のいずれの作品でもトップクラスの戦力ですし、そこにエウシュリー作品のチートの代名詞と言ってもおかしくない飛燕剣を少しでも習得しているだけでも軌跡シリーズの敵相手には十分過ぎる戦力ではあると思うのですがww)

 


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