No.1026453

ある日の狼さんのご飯

狭乃 狼さん

超絶ご無沙汰です。

狭乃狼です。

一応、生きてはいます。

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2020-04-17 00:59:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1275   閲覧ユーザー数:1142

 

 

 「あ~……腹減った……」

 

 

 

 今日も今日とてユグドラシル内の専用ラボにて研究三昧な俺、管理者の一柱たる狭乃狼。

 

 籠もり始めて3日、流石にそろそろカップ麺だのなんだののジャンクフードばっかに飽きてきたので、研究が一段落ついたのを機に、リビングへとフラフラとおぼつかない足取りで出てきた。

 

 

 

 「あ、やっと出てきた。お疲れ父さん」

 

 「お~、輝里……なんか食いもんないか?ちゃんとした料理……あれ?誰か客?」

 

 

 

 リビングに出た俺を出迎えたのは、黒髪ツインテな青い目の少女、家の一家の長女である輝里。あいも変わらずBL小説片手にお菓子をぱくついている。

 

 そんな彼女の前には何やらテーブルの上に雑誌が広げてあり、そして彼女が座っているのとは反対側の空いた席にはどっかで見たことのあるような、金魚柄のトートバッグがぽつん。

 

 

 

 「鈴乃さん来てるよ?なんか約束していたんじゃ?」

 

 「ほへ?……すずの……って、クレスティア・ベル?エンテ・イスラ大法神教会司祭の?はて?なんか約束したっけかな……ちびかまと」

 

 「ちびかまって言うなと言ってるだろうがっ!!」

 

 

 

 記憶をほじくり出そうとして首を傾げつつ天井を見上げた俺の背後から、そんな怒声が響く。一瞬だけビクッと体を震わせて後、その声の方へと顔を向けると、そこにいたのは着物姿の少女。

 

 艷やかな黒髪を四枚花弁の簪でまとめた、輝里より少し背の低い背丈の、ちょっと童顔なその人物の名は本名クレスティア・ベル、日本人名・鎌月鈴乃。

 

 「はたらく魔王様!」という世界に出てくる、エンテ・イスラという名の世界の人間であり、諸事情により地球は日本の、東京は笹塚という町の片隅にある、築年数殿堂入りなアパート『ヴィラ・ローザ笹塚』に住む聖職者さんである。

 

 

 

 一応補足しておきますが、彼女は嫁ってわけじゃありません。鈴乃さんには想い人がちゃんといらっしゃるので。誰かさんたちもその点分かってくれてます。(OHANASHI)はされましたが(泣。

 

 

 

 「よ、ちb、じゃない、鈴乃さん。今日はなんの用で?割烹着なんぞ着て鍋なんて持ってなにを?」

 

 「……そうかそうか。ドラゴニクス料理を一度食べてみたいと依頼されたからわざわざ来てやったというのに、どうやら貴様は要らないようだ。輝里殿、良ければどうだ?誰かさんは要らないようなのでな」

 

 「ごめんなさいすいませんどうかお許しくださいこれこの通り臥してお願い申し上げます鈴乃さま」

 

 

 

 スライディング土下座速攻です。

 

 

 

 「ふん。……今度その呼び方を口にしてみろ、ブートジョロキアも真っ青な『ベリルコッコ・パドゥー』特盛をその口に押し込んでやる」

 

 「へへーっ!!」

 

 

 

 ベリルコッコ・パドゥーとは、エンテ・イスラの食べ物。酢漬けされた豆のさやなのだが、中にはとんでもない辛さを蓄えるモノがあるそうで。……実際『向こう』に行ったときに食べてみたら……うん、ほんと、ね。

 

 ……まあ、、今日は留守にしているうちの娘の一人である命は平然とぱくついていたけどな。

 

 

 

 「ん?ってことは、その鍋」

 

 「ああ、ご所望のドラゴニクスステーキ岩塩スープだ」

 

 

 

 やった!前々から食ってみたかったんだよな!もうめっちゃ絶品らしいから!

 

 

 

 「あたしもさっき食べたけど、ほんと美味しかったよ。もう言葉に出来ないくらい」

 

 「喜んでもらえて何よりだ。……まあ、五枚も平らげられるとは思わなかったが」

 

 「相変わらずだなこの大食い魔神が……あ、そいや結と拓海は?命は誰かさんの修行に付き添ってるのは知ってるけど、二人は?」

 

 

 

 結はうちの次女。見た目どう見てもJSにしか見えん容姿の超甘党娘。桂花が鈴々みたいな格好で霞とか真桜みたく関西弁でしゃべる元気娘。

 

 拓海は長男坊。見た目完全に美少女にしか見えない上に輝里たちの指示(強制)によりゴスロリ装備が常態の男の娘である。容姿はどこぞのるりるりがショートボブにしているとご想像ください。

 

 さっきから話に出ている命と書いてミコト、と読むのはうちの三女。結よりちょっと背が高い程度のチビスケのくせに胸囲がそれはもう……!な、ロリ巨乳を地で行く黒髪おさげの超辛党な味覚破綻者。

 

 

 

 以上、輝里含めウチの四人姉弟でございます。

 

 

 

 ……え?他の姉妹sはって?

 

 

 

 はて?そんな連中いたっけ?記憶にございません。何かの間違いでしょう。うちには初めから四人しかいませんよ?

 

 

 

 ――――――――――どこかから何やら怨嗟の声が聞こえたような気もするけど、うん、キノセイキノセイ(笑)。

 

 

 

 と、閑話休題はさておいて。

 

 

 

 「二人共笹塚行ってる。千穂ちゃんと恵美さんとアラス・ラムスちゃんと遊びに行く約束してたみたい」

 

 「そか。仲良さそうで何より。鈴乃さん、真奥くんはバイト?」

 

 「ああ。今日はラストまでだそうでな。夜食だけ作っておいた。アルシエルもルシフェルもエンテ・イスラなのでな」

 

 

 

 なお、はたらく魔王様!のその他のキャラに関しては原作を参照ください。

 

 

 

 「うし、んっじゃあ早速、ステーキをいただきますか。鈴乃さん、ゴチになります!」

 

 「うむ、ゆっくり味わってくれ。では私はデザートの仕込みをしてくる。ピルギーの良いのが手に入ったからな」

 

 「お?!マジで?!そりゃ嬉しいね」

 

 「……父さん、ぴるぎー、って?」

 

 「デザートだけどスイカ同様野菜でな。蒸し焼きにすると中の果肉が層みたいに分離してケーキみたいな感じになる。……まあちっと見た目は初見にはキツイが、味は甘くてスッキリ、もう最高だぞ」

 

 「へー。……ちなみにどんな見た目?」

 

 「緑色の烏賊」

 

 「へ」

 

 

 

 あ、輝里の目が点になった。うん、気持ちはわかる。

 

 

 

 「ま、後で一緒に食べようぜ。気に入ること間違いから。……まだ入る、よな?」

 

 「勿論」

 

 

 

 即答である。

 

 

 

 さて、ではいよいよステーキをいただきますか。

 

 

 

 「お~、いい香り……この匂いだけで御飯何杯もイケそう。まずは一切れ……っっっっっ!!!!!」

 

 

 

 うーーーーまーーーーーいーーーーーぞおーーーーーーーーーーっっっ!!

 

 

 

 ナイフが、ナイフが止まらん!フォークを持つこの手が、この手が勝手に動きよる!

 

 

 

 「柔らかい!そして肉が甘い!こんがりとした焼き目の香りが甘みを極限まで引き立たせておる!そしてこのスープ!添えられたソースがまた絶妙に絡み合って…!このまま皿ごと飲み干したい!これがドラゴニクスか……!とても“トカゲ”の肉とは思えん!まるで超上等な牛肉のようだ……!!」

 

 

 

 これは、もう、鈴乃さんがハマるのもわかるっ。……おや?輝里の様子が……?

 

 

 

 「どした?そんな顔青ざめさせて」

 

 「……父さん、いま、なんて言った?」

 

 「何が?」

 

 「ドラゴニクスが……なにって?」

 

 「トカゲ」

 

 「と…か…フウ」

 

 

 

 あ、気ぃ失った。そういや輝里、爬虫類ダメだっけ。

 

 

 

 「待たせた、ピルギー、蒸し上がったぞ……輝里殿!?ど、どうしたのだ!?」

 

 

 

 そこに、湯気の上がるピルギーが乗った皿を持ち、鈴乃さんが戻ってきて、気絶している輝里に駆け寄る。

 

 

 

 「ドラゴニクスの肉の正体教えたら倒れおった」

 

 「そ。そうか……エミリア同様、トラウマにならねばいいが……」

 

 「……うん、まあ、とりあえず、起こしてピルギー、食べさすか。それでショックの上書きさせよう」

 

 

 

 てな感じで。

 

 

 

 輝里を気絶から回復させ、三人でまったりデザートをいただき、最後にお茶をズズズとすする。……は~、口とお腹が幸福で一杯ですわ……。

 

 

 

 「さて、そろそろ私はお暇するとしよう。九郎殿」

 

 「ん?」

 

 

 

 帰るために立ち上がった鈴乃さんが、一歩踏み出したその足をふと止め、俺の方を振り向く。ちなみに、あの世界では『柾木九郎』の名を名乗っているので、彼女も俺をそう呼ぶ。

 

 

 

 「今回の食事の代金、輝里殿に請求書を渡してあるので、後日きちんと支払うように。それではな」

 

 「……はい?」

 

 「ハイ父さん、これ」

 

 

 

 そう言って、帰っていく鈴乃さんを見送りつつ輝里が渡してきたその紙片を見る。

 

 

 

 「……フウ」

 

 「あ。今度は父さんが気絶した。そりゃ高いよねー。あたしが食べた分とか結と命と拓海にくれたお土産代も入ってるもんねー。さってと。あたしはそろそろ寝よーっと。じゃ、父さんおやすみー」

 

 

 

 スタスタと。

 

 気絶して倒れている俺の横を無慈悲に歩いていった輝里。

 

 

 

 ……俺も向こう(はたらく魔王様!の世界)で、バイトしよっかな……マグロナルドってまだバイト募集してんのかなー……(;´д`)トホホ…。

 

 

 

 <終わり>

 

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